丘の上の桜の木の下

【集合用スレッド】(大きな桜の木が見守る中。宴の準備は万端)
(休日の正午を過ぎた頃。桜並木を抜けて裏山の頂上まで辿り着いた一行は、一際大きな桜の木の側に、大きな大きなレジャーシートをいくつか広げて腰を落とした。食べ物や飲み物はそれぞれで持ち寄る手筈になっていて、レジャーシートの上も随分賑やかになったろうか。学年委員会問わず適当に集まり、談笑を交えながら頭上の桜を楽しむ。さて本日の宴は、無事に終える事が出来るのだろうか――)

【レスサンプル】やっぱり風情があっていいね、こういう物は。
山田利吉(学生達が集まる中、呼ばれたからとはいえ場違いではないだろうか――なんて考えに至らないのは、既にこの学園の生徒達と関わる事へ驚く程馴染んでいるからだろうか。重いだろうから、なんて理由で飲み物を多めに差し入れとして受け持って、適当に配りつつ「隣、いいかな」了承が得られれば、腰を落として。――騒ぎが始まるのにそう時間はかからなかっただろう。彼も輪の中で笑みを零しながら、“利吉さん、これどうぞ”そう生徒に勧められるままに紙皿に重箱の中身を受け取って、短く礼を告げようか)
場所取りが居たお蔭か時間帯が早いからか、特等席を貸切状態だな…。また夕方頃になれば屋台も出始めるだろうし、周りも賑やかになってくるんじゃないかな。あ、それ取って貰えるかい。
(少し離れた位置のお茶のペットボトルを指して、近場に居る誰かが応じてくれたならまた礼を告げて、紙コップにお茶を注ぎ足し。――のんびり寛ぐには持って来いの心地良い天気に目を細めて、穏やかな時間を過ごしていよう。途中、“日本酒とかないの利吉さーん!”なんて問われれば、「君達は未成年だろう」と呆れた素振りで窘めながら――。宴会はまだ、始まったばかり。)

えへへ、花より団子かなって思う時もあるけどでも、きれーだね!
小野原夏帆(集合時間より早めに到着した小野原は勝手知ったる裏山の、しかしいつもはマラソンで駆け抜けていくだけで、あまりまったりと眺めた事のない桜たちを、今更ながらに堪能していた。圧倒される様に息をのみながら、桃色に染まる視界――暫くすれば、ちらりほらりと人が集まり始め、ひらりひらり舞っている桜の花びらが髪に乗ったまま自身の名を呼んだ声の方へと駆け寄れば、――始まるのは、この学園の生徒らしい、賑やかで晴れやかなお祭り騒ぎだろうか。座り込んだ水玉模様のレジャーシートの上、ペイズリー柄の長袖シフォンワンピースとショートパンツにアーガイルのタイツ、薄い色の細身のブーツはレジャーシートの外に置かれ、へたりと座り込んだ小野原は、楽しげに食べ物を取り分けたりなんなりとこまめに働きつつ―隣、と掛けられた声に「どーぞお!」なんて確認もせずに返事をして、そして振り返ってから、「利吉さんだ!」なんて瞳をまあるくする。呼んでいる、とは聞いていたけれど。クリスマスの時といい、案外暇なんだろうか、というのは決して口には出しはしないが、表情から察するのは簡単だったかも知れない。そんな表情も、しかし直に満面の笑みに移れば、お久しぶりです、なんて幸せそうに告げて―。)―、あ!みんなみんな、新しいジュースが来たよー!、やったねやったね!(彼の運んできたジュース数本を同じレジャーシートを共にする生徒に配りながら、自分の紙コップにもりんごジュースを注ごうか。ほかにも誰かりんごジュースが欲しいと告げられればついでに注いだりしながら。屋台、という単語にぴくりと肩を揺らして、何を食べようかな、お団子かな…なんて既に脳裏で考えてしまう辺り気が早い。――いくつかあるレジャーシートの上を、色々な生徒が行ったり来たり入れ替わり立ち替わり面子が変わる中、雑用を買って出ている小野原は呼ばれない限りはその位置から大きく動く事は無く。しかし、偶に親しい友人や体育委員の後輩がやってくれば、いつも以上のハイテンションで名前を呼びながら撫でたり抱きよせたりとのはしゃぎ様から、十二分にこの花見という行事を満喫している事は明白だろうか。「楽しいね、楽しいね、」と定期的に笑顔から零れる無意識だろう言葉も、真実味に拍車をかけていて。―それはきっと、小野原だけじゃなくて。上がったテンションのままに言葉を放つ生徒に対して、冷静な突っ込みを入れる隣の彼には、「あは、利吉さんもせんせーみたいだあ、」なんて楽しげにころころ笑って。空になった紙皿を、膝と手の平をシートについた状態で、少し遠くの重箱の傍に座る人に差し出せば、)、ね ね、からあげ取ってほしいな、からあげ。あ うん、レモン!レモンでたべる!ありがとー!(へらりとした笑みでお皿を受け取ったのなら、先程までの場所へとちょこり座りなおして。ゆるゆると緩む口元を隠す必要なんて全くない。酒気が無くともまるで桜に酔ったかのようにぽやりと頬を染めて、まだまだずっと、きっとこうしてはしゃいでいる間中、桜色の唇が笑み以外の表情を浮かべる事はないのだろうと―。)

春の風物詩だものな、…ノリはまるきり年末忘年会の屋外版だが。
立花仙蔵(―枝葉を広げる桜色の下、友人達と分担して用意した大量の紙皿紙コップ―無論出所は必要経費として学園から受け取った金銭だ―を其々のレジャーシート毎に纏めて配り終えた立花は、空いている端のほうへとお邪魔する事にして、後輩から手渡された既に麦茶が注がれているコップをありがたく受け取った。襟ぐりのドレープから青ストライプのレイヤードが覗く白のカットソーは平素の制服姿よりも幾分カジュアルに見えるものの、色褪せのない細身のデニムジーンズや光沢のあるサイドゴアブーツで引き締めているからそうそう緩い印象は受けないだろう。そのブーツも今はシート外に、片膝だけ立てて足を崩しながら時折喉を潤して話を聞いたり相槌を打ったり喧しい集団に呆れた視線を送ったり、退屈するいとま無い時間が流れてゆく。―わっと一際賑やかな声が上がった反対側を振り返ると、輪の中に混じるのになんの不自然もない程に慣れ親しんだ男性がいて、そういえばまだ今年の挨拶を面と向かってしていない事を思い出せども盛り上がっているところに乱入するのも気が引けるから、後でいいかと見送って。彼の隣にいる絶えない笑顔を掠めれば微かに口元が和らぎつつ、戻した視線が委員の後輩でもある一年は組の少年を捉えた途端、「先輩、お裾分けです!」、紙皿に桜餅を置くなり後輩は慌しく他へと駆けて行き、それから少しも経たない内に次も同じく委員後輩の一年い組の少年が「お裾分けです、よ、宜しければ!」とチョコエクレアを桜餅の隣に置き、一礼して踵を返していった。こんな時でも競うように先輩の元を回っているのかなんなのか、微笑ましさに小さく噴出して、この喧騒の中で聞こえるかは分からないけれど小さな背中へと礼を届けよう。味見味見と手を伸ばしてくる同級生の手は容赦なくはたき落として、)でかい一口で半分以上食べる事を味見と言う奴の分け前はない。欲しかったら後輩にでも強請りに行って来い、(しっし、と叩いた手で追い払う仕草をする立花の口へと”お裾分け”の甘味は収められ、口を尖らせる友人を他所に麦茶のお代わりを注ぎ、序でに順番待ちしていた後輩の分も注いでやって――ゆらゆら透き通る水面、そこに風に乗った一枚の花弁が落ちてきて、またたいた双眸で空を仰ぐ。少し前まで棒きれの枝と枝の合間から冷え冷えとした青空が冴えているのが見えた裏山の天井、今は見頃を迎えた桜が咲き誇り、桃色の僅かな隙間から空が雲が覗くばかりだ。)………散るのが惜しいな。(花の散り際もまた美しいものだけれど、こうして不意に湧く感慨は毎年思うところでもあって、賑やかな皆の声をバックミュージックに再び手元へと眼差しを伏せた。揺らめく桜色を飲み込んだ液体を喉へと流せば、感じるのは春の匂いか、舌に残る甘さか。穏やかな空気が一陣の春風となって、桜を愛でる者、騒ぐ者、食べる者、皆を歓迎するように軽やかに駆け抜けていった――)

まあ、花見に宴会は付き物だろう。いいんじゃねぇか、らしくて。
潮江文次郎(随分と大所帯になったものだと思いつつも、そう悪くは思わない。適当な場所に腰を落ち着けて暫く、賑やかな声が辺りを包めば自身も談笑に加わって、春めいた陽気を満喫していた。―ライトグレーのシャツにワイン地のストライプシャツとパッチワークの革ジャケットを纏って、落ち着いた色合いのデニムに、差し色に置かれた赤いスニーカーはシートの端へ揃えられていた。胡坐を掻いて寛いで眺めている中で、不意に聞こえた声に視線を上げたのと周囲の声が沸いたのは同じタイミングか。馴染み過ぎた部外者の姿に周りに倣うようにお久しぶりですと挨拶をして、)あぁ、すみません、気を遣っていただいて。ありがとうございます、利吉さん。(配られる飲み物を適当に皆の手が伸びやすい位置に落ち着けつつ、謝辞を述べれば早速緑茶のペットボトルを開封して自身の分の紙コップを満たして。小野原と同じように周囲から声が掛かれば注いでやるくらいは働いて、最終的に差し入れの主からの声に、ペットボトルではなく新しいコップへ緑茶を注いで回してもらって。――現状を存分に寛いでいる為か潮江もあまり動こうとはしなかったけど、桜色が視界の端にちらついては穏やかな風が頬を撫でる感触にふっと気を緩めて、ふと友人らの楽しげな様子を視界に留めれば、隣に腰掛けていた相手に断りを入れつつ何とはなしに腰を上げて、シートの間をさくりと芝生を踏んで移動するのか。)お前のところの後輩は相変わらず騒がしいな。仲が良いやら悪いやら。(からかうように作法委員の一年生が入れ違いに駆けていく様子に喉を鳴らして、一蹴された同級生がこちらにも向ける強請る視線に何もない事を主張しつつ、―わあっと一際騒がしく上がった声に顔を向ければ、言った側から自身の所属する委員の後輩達がもめている様子にこちらもか、なんて思いつつ。)あいつら…。―ったく、こんな日までしょうがねぇ奴らだな。(やれやれと溜め息を吐きながらも止めに行こうとしない潮江に、止めないのかと疑問の声を掛けられれば、「いつものことだ。直に納まるさ、」なんて、軽い調子で一瞥するだけに留めて、そんな賑やかさすら平和だと日常を感じさせられては笑みを零して、友人との談笑もそこそこにまたその場を離れれば、気紛れに後輩の様子でも覗きに行って――。「邪魔させてもらうぞ、」と用があった訳ではないけど再び腰を落ち着ければ、隣に着いていた相手に頭の上を指差されて。いつの間にやら絡まっていた淡いピンクの花弁を指先で摘み上げれば、「―しかし綺麗なもんだな、」なんて今更ながらに呟き――明るい空気が晴れやかな気分まで運んでくるような、桜の香りに満たされたその場所で、穏やかな休息を得るのだろう。終始楽しげな様子が見られる一日、とは行かないだろうけど、それでも、今日もきっと、忘れられない日になるから――)

らしいで何でも片付けて良いやら。平和な証拠ですが。 
鉢屋三郎(甘やかな花の馨が鼻腔を擽る。花見日和―とは、裏山の頂上に向かう途中誰かが呟いていた事だけれど、言葉通り暖かな日差しが降り注ぐ中を、淡い花弁を引き連れ涼やかな風が一陣、通り抜ける。)くぁ…、………………あー……、(眠たげな瞼を持ち上げる事も無く、惜しげも無く大欠伸を零し乍、はしゃぐ生徒達の声を静かに―見下ろした。幹の太い木の上に、器用に身体を預けて、薄紅と水色だけを視界に、ゆら、ゆら、瞬きを繰り返していた。偶然真下から聞こえた、良い天気、と云う満喫して居る事が窺える穏やかな声に、「…良過ぎる位だ」、微小な声量で紡がれた其れは常の如く否定的にも聞こえる物で、眠りはしないけれど中途半端に眠たい、程良い脱力感の中で落とされていったろうか。一緒になって騒ぐ事も好きでは有るけれど、今はそんな風に離れて眺めていたい心境で。唐揚げに喜ぶ先輩の声や、落ち着いて桜を楽しむ先輩の様子を目に留めて、―序でに同級生の姿も、目が追って。呑気に観察し乍、再び欠伸が漏れる。高い位置から眺める景色は見通しが効いて気分が良くなる様で在ったか。枝葉の隙間から鉢屋の元へも届く陽光が身体を穏やかに暖めるままにぽかぽかと僅かに気を緩めれば、唇に小さ弧が描かれて。――不意に呼ばれた自らの名に視線を移せば、その先で手招く友人達の笑顔に軽く手を上げて応えて。三郎もこっち来いよ、そう導かれる侭に上機嫌に寛いで居た其の場所から飛び降りれば、軽い足取りで其の輪の中に紛れ込んで――加わったのは一つの笑顔。無邪気に花見を楽しむ鉢屋の笑い声が、同様に表情を咲かせた生徒達の声に混ざっては、淡い白桃が彩る晴れやかな空に溶けた―)

賑わうのは素敵なことです、私の輝きに敵うものはいませんがね!
平滝夜叉丸(桜の舞う青空の下、にこにこと楽しげな笑みを浮かべ用意されたドリンクに口をつける男が一人――美しいものが好きな滝夜叉丸が、この行事を楽しまないはずがない。周りの友人を無理矢理に巻き込みつつ、一人演説会を始める姿も、滝夜叉丸という人間を知っている者にとってはそう不思議な光景ではないだろう。新調した春物のブーツで柔らかな土を踏みしめながら、立ち上がって身振り手振り大きく話し出すのは、脈絡もなければあちらこちらへ飛んでばかりの話だったが―)桜は散り際が一番美しいというだろう、他のことにも同じことが言えると思うのだ。そして人で言う散り際とはいつのことだろうか?…そこ、死ぬ間際だと考えただろうそれは違うぞ!人は生まれたときから死へ向かってゆっくりゆっくりと散っていく…つまり今この瞬間もまさにその時だと言えよう、つまり?そう、つまりは桜以上の優美さを持つおれは、一生という全ての枠において美しく、そして切なくもどかしいものなのだ…ああ、はれ…(ふっ、と前髪をかき上げて一人己に酔ったなら、その喉を潤すためまた一口紙コップに口をつけて。「ジュースで酔ったんじゃないか?」と鬱陶しそうに滝夜叉丸を見る友人の言葉は耳になど入れずに、幸せそうにコップから口を離すのだ。そこではもう満足したのかその場を離れようと歩き出したなら、また新たな客を発見したとばかりに先輩の円へ飛び込んで行って。――気兼ねなく、力を抜け笑顔を零せる素晴らしい場所。ここにいて、こうして過ごす自身が美しいと思えるのは、きっとそれ以上に周りの皆が綺麗で温かいから―吹き抜ける風が桜の花びらをいくつも攫って行く――それに目を奪われては、そんなことばかり考えるのだ。)


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