性格・備考
鉢屋三郎は謎だらけである――彼の説明を求めると、誰からともなくそんな意見が上がる。親しい者からすれば鉢屋の性格は解り易いとまで言われてしまうのだが、日々を不破雷蔵の姿に扮し過ごす彼の本当の所はまるで曇りガラスで覆われているかのようである。それでも得意の変装で人を驚かせて喜んでいる所を見ると、性格が捻くれているのは確実だろう。変装が最たる所ではあるが、悪戯が彼の生き甲斐と言って過言はないかもしれない。茶化しからかい、本音は奥に隠してしまいがちで、その為誤解を与える事も少なくない。そして誤解が生じても弁解しようともせず、興味を示そうともしない。落ち着いて冷静に物事を見通し、じっくり観察する事が出来る視野の広さを持ちながらも、話してみればまるで子供のような、我侭で自分本位な所も見て取れる。そのギャップが、更に鉢屋という人間を謎に包んでいるのかもしれないが、どちらも嘘偽りがあるものではない。冷静であるが故に他人と距離を取りがちで、本来は人好きで自分から近付いて行きたがる癖に、肝心な所で一歩引いて様子を探る。だからこそ、強引に寄られる事には弱いという、意外な面もあるのだが、それも親しい者に限っての事。気に入りは分かり易い鉢屋だから、興味がない物に対しては簡単に吐いて捨てる態度を取る事もあるのだとか。とはいえ、鉢屋の愛情表現自体も捻くれている事が殆どな為、好きな子ほど苛めたい典型でもあり、その言動は解り難いものかもしれない。特に後輩達への扱いでは顕著で、学級委員長委員会でも、からかって驚かせていたかと思えばべたべたに甘やかしてみたり、引いた一線も、随分緩められている事が伺えるだろう。少し困った所はあるが、面倒見のいい先輩としては、それなりに親しみ易い態度だろう。こっそり悪戯の指南をしては、後輩を楽しませているという噂だ。捉え難い雰囲気を持つ鉢屋だが、前述の通り親しい者の内では解り易い―つまり、慣れれば捻くれた様子すらも意図する所が簡単に見えてしまうので、鉢屋は素直じゃないなとにやつかれる事も。それでも負けず嫌いな所為か、内面を中々掴ませようとしない鉢屋。外見も含めて、本当の所を知るものは少ない――。
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