性格・備考
短気・熱血・負けず嫌い、と三拍子揃った暑苦しい性格は、野心に燃える向上心の塊であるとも言えるだろう。潮江文次郎という男について問うと、鍛錬バカという表現が正にしっくりくる。目の下に濃く濃く作った隈はその努力の表れでもあり、少々周りが見えていないところもあるが、自分に厳しいその生真面目さは認めざるを得ない長所ではないだろうか。そんな努力の甲斐もあって優秀な成績を収めており、人を馬鹿にした様な言動を零すこともあるが、ライバル心を燃やしているという点に加え、努力によって成果を出している自身が「出来て当然」の証明であるとも考えているからだろう。けれど相手の評価すべきところは認めることが出来る柔軟性は持っている。ただそれを表に出すのが苦手なのであろう。はっきりしているが故に歯に衣着せぬ物言いをしてしまうことも多く、厳つい顔付きのせいで後輩を怖がらせることも、また、我が道を行く行動で振り回すことも、よくあることである。その筆頭が会計委員会に持ち込んだ算盤にあるのかもしれない。10キロもある算盤を鍛錬と称して使わせたり、ミスがあれば弛んでいると校庭を走らせたり、事あるごとに行われるそれは、正に鍛錬バカの名に相応しいと言えようが、委員長がこの様子では、会計委員のメンバーにはいい迷惑だろう。そんな様子に付いた呼び名は「地獄の会計委員長」。暴走に恐れられていることに気付いていないのかと思いきや、曰く「恐がらせとるんだ、バカタレ。」ということなのだから、威厳を保つ為態と行われている―だけではない気はするが―のかもしれない。規律にも厳しいばかりと思わせながらも、図書室から何冊も借り出した本の貸し出し期限を忘れたりと、案外ずぼらな所も目立つようだ。とはいえ借りたこと自体を忘れているのではなく(中には忘れている物も含まれることもあるが)勉強の為に参考書として利用しているものが殆どらしい。図書室に行く間も惜しんで、国立の教員養成系の教育学部を進路に日夜勉学に勤しんでいる、と言えば少しは聞こえはいいかもしれないが、かといって規則は規則。度々図書委員から返却要請を通知されては、マイペースに図書室へ足を運ぶ姿が目撃されているようだ。
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