
[No.1] (放課後、平生の如く保健室に。しかし握った反省文は非日常で) 名前:善法寺伊作












、彼がそれを犠牲と思っていないのならそれで構わないと、思考の隅へと追いやりつつ)えっ感染型とかある訳?それは初耳かも。でも菜生って大して不運には見えないから男子限定の感性型?…ちょっとそれ、新手の感染症みたいでヤダ。(動きを制限されている為か、口だけがいつも以上によく動いてしまう。ここまでお喋りだったかな、私―などと考えながらも、交換されるタオルに「ありがと」なんて返しつつ、タオルが換えられる瞬間、視線が合うのはどうにも気恥かしいものがあるのか、目を瞑ったままで)私結構顔広いからこの学園の同じ年の子なら結構知ってるよ。でも可愛い子か…善法寺って案外メンクイ?(揶揄するように彼へと向けられる口調は明らかに愉快さが滲んでいて。元より誰かをからかうことが好きな性質ではあったが、それが他人の恋愛事ならば尚更のこと。それも弱味のネタとして握ってしまえとまで思うあたり、ちゃっかりしてると言うべきか)小学生の頃は確かにそういうの流行ったけど、でも私すぐ気付いたし、あんまりされなかったからなぁ。なんていうかドンマイ?(なんとも曖昧な慰めの言葉であるが、本人に悲観する様子がないのだからそれ以上的確な言葉が見つからないというのが本音である。昔から色々な経験があるようだがそれに全くへこたれずにいることは若干の好感が持てるかもしれないが―しかし自分には真似出来そうもない、と早々と思考を切り上げつつ)飴はそうでもないけど、ソフトキャンディー系って歯につまるから私は舐める方が好きだけどね。(しばらくすれば室内に響く小気味のいい音―ポケットの中にまだ残された飴の一つを自分の口元へ運びながら、その音に「あんまり音立てると行儀悪いよ」と指摘を入れるも―ただ彼女自身は然程それに気を悪くしてないのか、その口調は柔らかい。手の中に残った袋を保健室のゴミ箱の中に落とせば) 愛しい委員長が待ってるから私はそろそろ行くかな。じゃあね善法寺(大した収穫はなかったがしかし有意義な時間ではあった。ひらりと振った片手は綾瀬の機嫌の良さを表わしているといっても過言ではないはずで、保健室から出ていく間際に零す小さな「有難う」の言葉もその証か。今日は委員会のある日ではないが、恐らく委員会好きの委員長は何かしら作業はしているだろう。目がすっきりしたついでにそれを手伝って帰るのも良いかもしれない―そう思いながら進める足取りは軽く、道のりを半分くらい進んでからやっと彼の外への用事をなんだったのか聞きそびれた、などと若干の後悔を抱くのだろうか)