[No.1] (放課後、平生の如く保健室に。しかし握った反省文は非日常で) 名前:善法寺伊作
(不運委員長。自分がそう呼ばれているのは知っている。自称しているつもりは全く無い。しかしその通り名が見事に善法寺をあらわしていることもまた事実である。不運委員長善法寺伊作。今日も注意をしていた筈なのに中庭の落とし穴に足を引っ掛け、引っ掛けただけだからラッキーだと思えばふらりとよろけて木に激突。そして結局小松田さんが集めたのだろうか、多量の落ち葉の山に背中から落ちるという一連の動作を先程の昼休みに繰り広げたばかりである。持っていたメロンパンは当然宙を舞って虚しく地面に叩きつけられた。昼休み終盤に六年は組の教室の中を見たのならば、恐らくしょんぼりと潰れたメロンパンを齧っている善法寺が見れただろう。――部活動には所属していないが、外で部活をしているところもあれば委員会もある。終わるまで保健室に居るのは善法寺の日課だ。授業が全て終わり、さて保健室にでも、と思えば担任に呼び止められる。何でしょうか、なんて尋ねてみれば突き出された原稿用紙。今日は善法寺の記念すべき五回目の遅刻記念日であるらしい―今月に入ってから、五回目の。もちろん原因はいつもの不運連鎖だが、最近は余計に多い気がする。予算会議が近いからか、ため息をつけばカバンと原稿用紙を片手に保健室に向かって。いつも通り静謐な保健室に満足そうににっこりと笑って、定位置となっている机を陣取り、カバンを置く。保健室に居るついでに反省文も仕上げてしまえと原稿用紙を広げれば、カバンの中に筆箱が入っていないことに気づくのか)…取りに行くしか、ないんだよね(はは、と自嘲の笑みを浮かべれば、よいせと立ち上がり保健室の戸をがらりと開いて―その先に居た彼女に目を瞬かせるのだろうか)
(不運委員長。自分がそう呼ばれているのは知っている。自称しているつもりは全く無い。しかしその通り名が見事に善法寺をあらわしていることもまた事実である。不運委員長善法寺伊作。今日も注意をしていた筈なのに中庭の落とし穴に足を引っ掛け、引っ掛けただけだからラッキーだと思えばふらりとよろけて木に激突。そして結局小松田さんが集めたのだろうか、多量の落ち葉の山に背中から落ちるという一連の動作を先程の昼休みに繰り広げたばかりである。持っていたメロンパンは当然宙を舞って虚しく地面に叩きつけられた。昼休み終盤に六年は組の教室の中を見たのならば、恐らくしょんぼりと潰れたメロンパンを齧っている善法寺が見れただろう。――部活動には所属していないが、外で部活をしているところもあれば委員会もある。終わるまで保健室に居るのは善法寺の日課だ。授業が全て終わり、さて保健室にでも、と思えば担任に呼び止められる。何でしょうか、なんて尋ねてみれば突き出された原稿用紙。今日は善法寺の記念すべき五回目の遅刻記念日であるらしい―今月に入ってから、五回目の。もちろん原因はいつもの不運連鎖だが、最近は余計に多い気がする。予算会議が近いからか、ため息をつけばカバンと原稿用紙を片手に保健室に向かって。いつも通り静謐な保健室に満足そうににっこりと笑って、定位置となっている机を陣取り、カバンを置く。保健室に居るついでに反省文も仕上げてしまえと原稿用紙を広げれば、カバンの中に筆箱が入っていないことに気づくのか)…取りに行くしか、ないんだよね(はは、と自嘲の笑みを浮かべれば、よいせと立ち上がり保健室の戸をがらりと開いて―その先に居た彼女に目を瞬かせるのだろうか)
[No.2] 反省文なんて書いてる人初めてみるんだけど。…ある意味レア? 名前:綾瀬遥香
(不運委員会不運委員長―彼が不運だと言われてきたことは知ってはいたが、ここまで不運になると最早呆れを通り越して不憫にさえ思えてくるのは何故だろうか。女子にしては少々シンプル過ぎる手帳に調査対象の弱みを握る為に書き込むメモは、ただの彼の不運が書かれた記録帳と化してしまっている。最初こそは楽しんで彼の不運を眺めてはみたが、たまにとばっちりのように自身に襲いかかってくる不運に関してはそろそろ辟易としてきた頃合いで。とはいえ、綾瀬自身は不運でも何でもないのだから持ち前の運動神経で落とし穴を始めとする不運をしっかりと避け、今のところは奇跡的に無傷。無傷であれとも多少なりとも不運に巻き込まれかけていることは事実であり、こうやって仕事として押し付けられなければ、こうして彼に近づこうなど思いもしなかっただろう。他の委員会の弱みを握ればいいという考えは素直に同意しかねるが、しかしそれが委員会の仕事として己に与えられたのなら、それを全うしてしまうのが悲しいことに真面目な綾瀬の性質であり、ましてやそれが不運委員長善法寺伊作となれば後輩に任す訳にもいかず、今に至るのだが)…顔は良いのに、勿体ない。(保健室の扉の前で小さく零したその言葉。流石に反省文を書く様子まで調査する気はないのか、今日の調査―半ば不運観察と化してはいるが―はおしまい、と手に持った手帳を閉じ手に持っていたペンを挟み込み、そこから立ち去ろうとするのだけれど―思わず瞬かせてしまった瞳。あろうことか、手帳を閉じるという僅かな時間の間に開け放たれたその扉、そしてそこにいるのは紛れもなく調査対象である"善法寺伊作"で)あぁ、善法寺。保険委員の仕事?それともまた不運で怪我?どちらにせよ、ご苦労様。(しかし口から出るのはあくまでも平常を装った言葉で、用があって保健室に立ち寄った一生徒に見えるように「保険医の先生いる?」なんて問いかけることを忘れずに。冷静を装ってはみても、まさかこんな所で鉢合わせするなど思ってもなかったのだから、その内心は焦り以外の何も抱いていないのだが、果たして彼は不自然さを感じるのか、それとも―)
(不運委員会不運委員長―彼が不運だと言われてきたことは知ってはいたが、ここまで不運になると最早呆れを通り越して不憫にさえ思えてくるのは何故だろうか。女子にしては少々シンプル過ぎる手帳に調査対象の弱みを握る為に書き込むメモは、ただの彼の不運が書かれた記録帳と化してしまっている。最初こそは楽しんで彼の不運を眺めてはみたが、たまにとばっちりのように自身に襲いかかってくる不運に関してはそろそろ辟易としてきた頃合いで。とはいえ、綾瀬自身は不運でも何でもないのだから持ち前の運動神経で落とし穴を始めとする不運をしっかりと避け、今のところは奇跡的に無傷。無傷であれとも多少なりとも不運に巻き込まれかけていることは事実であり、こうやって仕事として押し付けられなければ、こうして彼に近づこうなど思いもしなかっただろう。他の委員会の弱みを握ればいいという考えは素直に同意しかねるが、しかしそれが委員会の仕事として己に与えられたのなら、それを全うしてしまうのが悲しいことに真面目な綾瀬の性質であり、ましてやそれが不運委員長善法寺伊作となれば後輩に任す訳にもいかず、今に至るのだが)…顔は良いのに、勿体ない。(保健室の扉の前で小さく零したその言葉。流石に反省文を書く様子まで調査する気はないのか、今日の調査―半ば不運観察と化してはいるが―はおしまい、と手に持った手帳を閉じ手に持っていたペンを挟み込み、そこから立ち去ろうとするのだけれど―思わず瞬かせてしまった瞳。あろうことか、手帳を閉じるという僅かな時間の間に開け放たれたその扉、そしてそこにいるのは紛れもなく調査対象である"善法寺伊作"で)あぁ、善法寺。保険委員の仕事?それともまた不運で怪我?どちらにせよ、ご苦労様。(しかし口から出るのはあくまでも平常を装った言葉で、用があって保健室に立ち寄った一生徒に見えるように「保険医の先生いる?」なんて問いかけることを忘れずに。冷静を装ってはみても、まさかこんな所で鉢合わせするなど思ってもなかったのだから、その内心は焦り以外の何も抱いていないのだが、果たして彼は不自然さを感じるのか、それとも―)
[No.4] え?そうかな、喧嘩とかで書かされてる人結構居ると思ったけど… 名前:善法寺伊作
(そういえば今日は朝からついていなかった。いつものことではあるが何時もに増して、だ。目覚まし時計は止まっているし階段から落ちるし自転車はパンクしてるし踏み切りは開かない。結局遅刻して反省文なんてものを頂いてしまった。恐らく担任も善法寺の不遇を知っているからこそ形式上だけでも何か、という訳なのだろうか。彼の気持ちを正確にはわかれないのだが。どっちにしろ放課後は居残るのだし暇つぶしとしてしか使わないだろう反省文。しかしその暇つぶしを実行する為の手段―筆箱が無いのなら、やはり教室まで戻るしかなくて。そう思いあけた扉の先に人が居るとは思いもよらず)ああ、うん、今日は仕事。新野先生がいらっしゃらないから、留守を任されてるんだ。綾瀬さんは怪我?病気?僕でよければ手当てするけど(善法寺が入り浸っているせいで保健室に行けば善法寺は見つかると言われるほどであるが、保健室はあくまで保健室。善法寺の私室ではないのだから人が尋ねてくる事は多い。善法寺としては余り嬉しくないのだが、案外に多いのだ。喧嘩やら委員会やらが主とした理由だが。だから彼女がそこに居ても不思議だとは思わないのだが―最早癖か、ざっと上から下まで怪我は無いのか確認するあたりに善法寺の年季を感じるだろう。その善法寺の見た感じでは特に怪我もなさそうだし、具合も悪くなさそうなのだが、見えないところに何かあるのかもしれない。人が居ないのであれば例えば今日のように反省文を書いてみたり、何時ものように薬草園に居ても良いし、薬を煎じてみようなんてこともするのだが人が居るとなると話は別である。怪我人病人は最優先しなければならない。学校に居て出る怪我位であれば善法寺でも治療は出来るし、病気の場合も流行り易いものや軽い症状であれば対処法は知っている。まずは彼女の話を聞くのが先だろうか。どうぞ、と保健室の戸を開いたままに身を引けばにっこり微笑んで。何処か少し落ち着かないように見える彼女。何かあったのかと首を傾げるも、まさかその理由が自分だとは夢にも思わないのだ)
(そういえば今日は朝からついていなかった。いつものことではあるが何時もに増して、だ。目覚まし時計は止まっているし階段から落ちるし自転車はパンクしてるし踏み切りは開かない。結局遅刻して反省文なんてものを頂いてしまった。恐らく担任も善法寺の不遇を知っているからこそ形式上だけでも何か、という訳なのだろうか。彼の気持ちを正確にはわかれないのだが。どっちにしろ放課後は居残るのだし暇つぶしとしてしか使わないだろう反省文。しかしその暇つぶしを実行する為の手段―筆箱が無いのなら、やはり教室まで戻るしかなくて。そう思いあけた扉の先に人が居るとは思いもよらず)ああ、うん、今日は仕事。新野先生がいらっしゃらないから、留守を任されてるんだ。綾瀬さんは怪我?病気?僕でよければ手当てするけど(善法寺が入り浸っているせいで保健室に行けば善法寺は見つかると言われるほどであるが、保健室はあくまで保健室。善法寺の私室ではないのだから人が尋ねてくる事は多い。善法寺としては余り嬉しくないのだが、案外に多いのだ。喧嘩やら委員会やらが主とした理由だが。だから彼女がそこに居ても不思議だとは思わないのだが―最早癖か、ざっと上から下まで怪我は無いのか確認するあたりに善法寺の年季を感じるだろう。その善法寺の見た感じでは特に怪我もなさそうだし、具合も悪くなさそうなのだが、見えないところに何かあるのかもしれない。人が居ないのであれば例えば今日のように反省文を書いてみたり、何時ものように薬草園に居ても良いし、薬を煎じてみようなんてこともするのだが人が居るとなると話は別である。怪我人病人は最優先しなければならない。学校に居て出る怪我位であれば善法寺でも治療は出来るし、病気の場合も流行り易いものや軽い症状であれば対処法は知っている。まずは彼女の話を聞くのが先だろうか。どうぞ、と保健室の戸を開いたままに身を引けばにっこり微笑んで。何処か少し落ち着かないように見える彼女。何かあったのかと首を傾げるも、まさかその理由が自分だとは夢にも思わないのだ)
[No.6] 潮江も書いてたりするのかな。まぁ私は優等生だから無関係だけど 名前:綾瀬遥香
(その問い掛ける様から、焦りながらの言葉とはいえ彼に不信感を与えていなかったことを察すれば、少しばかり肩に込めてしまった力を抜く。まさか彼も弱みを握る為に調査されているなど思いもしないだろう―そんな安心感に装うまでもなく自然と声音はいつもの物に戻り、先程よりは幾分か落ち着いた調子で言葉を返すのか)そう、新野先生居ないの。留守とか任されちゃって保健委員会も中々大変そうね。(ただそこまで言葉を口にするも、続きの言葉が出てこず、訪れるのは一瞬の不自然な間。今の自分は怪我でも病気でもなく健康体そのものであり、手当ての必要性など皆無だ。確認する彼の様子に下手な仮病は通用しないと咄嗟に判断したのか、告げるのは嘘の入り混じった言葉で)その、目薬借りに来たの。授業中だけなんだけど眼鏡かけてるとどうも目が乾くっていうか、疲れるっていうか。いつもは持ってきてるんだけど今日は忘れちゃって。保健室に来れば借りれるかな、と。(いつも以上に饒舌になってしまい、紡ぎ出す言葉はどこか言い訳じみたもののように感じてしまう。とはいえ、目薬を持参しているのは事実であり―化粧ポーチにしっかり愛用のものが仕舞い込まれているが―真実は告げてはいないが決して全て嘘という訳ではない。頭痛なり何なり言えばそれで済んだかもしれないが、彼が心配してくれるのは今までの調査から容易が想像がついてしまい、それはそれで後味が悪く、仕事の為だと割り切った調査に対して罪悪感を改めて感じることになるのだから、これが綾瀬のある意味精一杯の嘘とでも言うべきか。どーもと言葉を返しながら向けられた笑みに反射的に笑みを返すも、保健室の中へ足を踏み入れれば、身を引いてくれた彼へと振り返り)目薬を借りたいだけだから手当てとか要らないし、保健室の外に用事があるなら、それを優先してくれて構わないよ。(目薬の場所を彼に聞く必要があるのだろうが、実際に目が乾いている訳でもなく、彼が一体何を思って保健室の外へ出ようとしているのかは綾瀬の知りえたことではないのだが、その隙に逃げ出してしまえば良いだけの話で。)
(その問い掛ける様から、焦りながらの言葉とはいえ彼に不信感を与えていなかったことを察すれば、少しばかり肩に込めてしまった力を抜く。まさか彼も弱みを握る為に調査されているなど思いもしないだろう―そんな安心感に装うまでもなく自然と声音はいつもの物に戻り、先程よりは幾分か落ち着いた調子で言葉を返すのか)そう、新野先生居ないの。留守とか任されちゃって保健委員会も中々大変そうね。(ただそこまで言葉を口にするも、続きの言葉が出てこず、訪れるのは一瞬の不自然な間。今の自分は怪我でも病気でもなく健康体そのものであり、手当ての必要性など皆無だ。確認する彼の様子に下手な仮病は通用しないと咄嗟に判断したのか、告げるのは嘘の入り混じった言葉で)その、目薬借りに来たの。授業中だけなんだけど眼鏡かけてるとどうも目が乾くっていうか、疲れるっていうか。いつもは持ってきてるんだけど今日は忘れちゃって。保健室に来れば借りれるかな、と。(いつも以上に饒舌になってしまい、紡ぎ出す言葉はどこか言い訳じみたもののように感じてしまう。とはいえ、目薬を持参しているのは事実であり―化粧ポーチにしっかり愛用のものが仕舞い込まれているが―真実は告げてはいないが決して全て嘘という訳ではない。頭痛なり何なり言えばそれで済んだかもしれないが、彼が心配してくれるのは今までの調査から容易が想像がついてしまい、それはそれで後味が悪く、仕事の為だと割り切った調査に対して罪悪感を改めて感じることになるのだから、これが綾瀬のある意味精一杯の嘘とでも言うべきか。どーもと言葉を返しながら向けられた笑みに反射的に笑みを返すも、保健室の中へ足を踏み入れれば、身を引いてくれた彼へと振り返り)目薬を借りたいだけだから手当てとか要らないし、保健室の外に用事があるなら、それを優先してくれて構わないよ。(目薬の場所を彼に聞く必要があるのだろうが、実際に目が乾いている訳でもなく、彼が一体何を思って保健室の外へ出ようとしているのかは綾瀬の知りえたことではないのだが、その隙に逃げ出してしまえば良いだけの話で。)
[No.9] 文次郎は…どうだろうねぇ。少なくとも僕は見たこと無いけど。 名前:善法寺伊作
(怪我人病人と長年付き合ってきたお陰だろうか、保健委員を六年もやっていれば、例えば薬学であったり治療法であったり人の感情の機微であったり、そういった方向に明るくなるのか。先生が居ない、という言葉に対してだろうか。安堵した様子の彼女に首を傾げるも、言われない限り無用な詮索は無粋だろう、特に触れることも無いと判断して。)んん、でも頼りにされてるってことだから、僕は嬉しいかなぁ。それに結構ね、楽しいよ?後輩は可愛いし(不運だけど、と笑い飛ばすのは最早慣れきっているから。真冬の寒中水泳程度では最早善法寺は動じないだろうか。ついこの間あった、水道暴発事件を思い出しながら乾いた笑いを零し。一瞬下りた沈黙にも、会話を急かさないのはここが保健室で、所謂カウンセリングの様な物も―校医の新野先生が主であるが、善法寺もたまに話し相手を務めることがある程度であるが―やっているからか。続いた言葉に特に疑う様子も無くへぇ、と呟けば)目薬は市販のでも良いのかな。病院で処方されるようなやつは流石に取り扱ってないんだけど…嗚呼、でも目が疲れてるなら目薬より目を休めた方が…(彼女に確認を取りながら薬棚に向かいかけ、ふと振り返る。いきなり薬に頼るのは善法寺としては余りしたくない。目薬に中毒があるわけは無いのだが、薬は服用しすぎると効果が薄れる。それを知っているからあえて、この現代にも平生は漢方を使用している男なのだ。ふむ、と口元に手をやれば、考えうる対処法を思い浮かべ)―綾瀬さんは化粧落ちるのは嫌だよねぇ?(暖かいタオルを目の上に載せると良いんだけど、と説明を加えながら。自分の取るべき行動を図りかねているうちに出されてしまった結論に、ううん、と小さく唸るのか。それは如何見ても、得心いったとは言いがたい表情なのだろう。)人が居るのに保健室を空になんて出来ないよ!それにどうせ対した用でもないし…(結論はともかくとしてその後の言葉には反論の為にと口を開くのは、善法寺が保健委員だから、である。反省文については、なんせ担任が今まで忘れていた位だ。今日中に提出しろなんて無理なことは言わないだろう。学校が閉まる前に取ってくればいいのだし、最悪置きっぱなしでも家に帰れば筆記用具はあるのだから、特に今教室に忘れた筆箱を取りに行く理由は無い。以降とした理由は時間をつぶす為であったのだし、現在善法寺の前には保健室の利用者が居るのだから―)
(怪我人病人と長年付き合ってきたお陰だろうか、保健委員を六年もやっていれば、例えば薬学であったり治療法であったり人の感情の機微であったり、そういった方向に明るくなるのか。先生が居ない、という言葉に対してだろうか。安堵した様子の彼女に首を傾げるも、言われない限り無用な詮索は無粋だろう、特に触れることも無いと判断して。)んん、でも頼りにされてるってことだから、僕は嬉しいかなぁ。それに結構ね、楽しいよ?後輩は可愛いし(不運だけど、と笑い飛ばすのは最早慣れきっているから。真冬の寒中水泳程度では最早善法寺は動じないだろうか。ついこの間あった、水道暴発事件を思い出しながら乾いた笑いを零し。一瞬下りた沈黙にも、会話を急かさないのはここが保健室で、所謂カウンセリングの様な物も―校医の新野先生が主であるが、善法寺もたまに話し相手を務めることがある程度であるが―やっているからか。続いた言葉に特に疑う様子も無くへぇ、と呟けば)目薬は市販のでも良いのかな。病院で処方されるようなやつは流石に取り扱ってないんだけど…嗚呼、でも目が疲れてるなら目薬より目を休めた方が…(彼女に確認を取りながら薬棚に向かいかけ、ふと振り返る。いきなり薬に頼るのは善法寺としては余りしたくない。目薬に中毒があるわけは無いのだが、薬は服用しすぎると効果が薄れる。それを知っているからあえて、この現代にも平生は漢方を使用している男なのだ。ふむ、と口元に手をやれば、考えうる対処法を思い浮かべ)―綾瀬さんは化粧落ちるのは嫌だよねぇ?(暖かいタオルを目の上に載せると良いんだけど、と説明を加えながら。自分の取るべき行動を図りかねているうちに出されてしまった結論に、ううん、と小さく唸るのか。それは如何見ても、得心いったとは言いがたい表情なのだろう。)人が居るのに保健室を空になんて出来ないよ!それにどうせ対した用でもないし…(結論はともかくとしてその後の言葉には反論の為にと口を開くのは、善法寺が保健委員だから、である。反省文については、なんせ担任が今まで忘れていた位だ。今日中に提出しろなんて無理なことは言わないだろう。学校が閉まる前に取ってくればいいのだし、最悪置きっぱなしでも家に帰れば筆記用具はあるのだから、特に今教室に忘れた筆箱を取りに行く理由は無い。以降とした理由は時間をつぶす為であったのだし、現在善法寺の前には保健室の利用者が居るのだから―)
[No.12] 潮江と食満の喧嘩を越える喧嘩は中々ないと思ったんだけどね。 名前:綾瀬遥香
(此処まですんなりと誤魔化せてしまうと、どうしても罪悪感が沸々と胸中にわいてくる。こうして心配してしまうのは保険委員としての彼の性とでもいうのか―どうもそのあたりの判断がつかず、不運としか印象を持っていなかった彼に対して、読めないという新しい印象を付けたしながらも、彼が告げるその言葉に同意を示すかのように頬は緩み)なんかそれは分かるかも。大変でも楽しい事は色々あるし。それに後輩は可愛いしね。まぁうちは不運じゃないけど。(彼と同じように冗談めいた口調で最後の言葉を言ってみせたのは、ここ数日のおかげで彼がいかに不運であるかを身にしみて感じたからだろう。ただそれも所詮は他人事、他人の不幸は蜜の味とはよく言ったもので。―自分でも分かる不自然な間に、流石にこれは疑われるかもしれないと、そう思ってみたがしかし零される呟きに思わず目を瞬かせる。ただそれなら都合がいいと、彼の言葉に返す口調はいつもどおりのもので)別に私も多用している訳じゃないし、市販の使ってるからそれで十分。委員会の仕事が終わるまでどうにかなればそれで良いから。(自分でも呆れる程に己の口は真実の入り混じった嘘を次から次へと紡ぎだしていく。薬棚と、そしてそこにいる彼の姿を眺めながら、こうして親身になって考えてくれることに対しての嬉しさはやはり中々複雑なもので。そんな中、問いかけられた言葉には不思議そうな表情をしつつも、)そうでもないよ。体育の時はすっぴんだし、それに私そこまで濃いメイクしてる訳じゃないから。(そう答えた後、彼の言いたいことが明確に分かれば、そこで納得したように、あぁ聞いたことある、なんて小さく零すのか。ただこうも複雑な心情は続く彼の言葉によって打ち砕かれる。思わず零れてしまった笑い声―罪悪感が消えてしまうほど、彼は人が良い)善法寺って真面目っていうか良い人過ぎるっていうか、(一応笑い声を抑える気はあるのか、喉の奥で零される小さな音。彼にしてみれば一体何に対して綾瀬が笑っているのか理解するのは中々難しいことかもしれないが、しかし張り詰めていた分、一度緩んでしまえばそれを張り直すのは容易いことではない。愉快そうに右手で口元を抑えながら、片方の手でポケットの中を探りつつ)不運な保険委員趙に私から幸福のお裾分け…要る?要るなら手、出して(そう問いかける頃には笑い声も落ち着いているのだろうが、しかしその声音は愉快そうな色を保ったままで)
(此処まですんなりと誤魔化せてしまうと、どうしても罪悪感が沸々と胸中にわいてくる。こうして心配してしまうのは保険委員としての彼の性とでもいうのか―どうもそのあたりの判断がつかず、不運としか印象を持っていなかった彼に対して、読めないという新しい印象を付けたしながらも、彼が告げるその言葉に同意を示すかのように頬は緩み)なんかそれは分かるかも。大変でも楽しい事は色々あるし。それに後輩は可愛いしね。まぁうちは不運じゃないけど。(彼と同じように冗談めいた口調で最後の言葉を言ってみせたのは、ここ数日のおかげで彼がいかに不運であるかを身にしみて感じたからだろう。ただそれも所詮は他人事、他人の不幸は蜜の味とはよく言ったもので。―自分でも分かる不自然な間に、流石にこれは疑われるかもしれないと、そう思ってみたがしかし零される呟きに思わず目を瞬かせる。ただそれなら都合がいいと、彼の言葉に返す口調はいつもどおりのもので)別に私も多用している訳じゃないし、市販の使ってるからそれで十分。委員会の仕事が終わるまでどうにかなればそれで良いから。(自分でも呆れる程に己の口は真実の入り混じった嘘を次から次へと紡ぎだしていく。薬棚と、そしてそこにいる彼の姿を眺めながら、こうして親身になって考えてくれることに対しての嬉しさはやはり中々複雑なもので。そんな中、問いかけられた言葉には不思議そうな表情をしつつも、)そうでもないよ。体育の時はすっぴんだし、それに私そこまで濃いメイクしてる訳じゃないから。(そう答えた後、彼の言いたいことが明確に分かれば、そこで納得したように、あぁ聞いたことある、なんて小さく零すのか。ただこうも複雑な心情は続く彼の言葉によって打ち砕かれる。思わず零れてしまった笑い声―罪悪感が消えてしまうほど、彼は人が良い)善法寺って真面目っていうか良い人過ぎるっていうか、(一応笑い声を抑える気はあるのか、喉の奥で零される小さな音。彼にしてみれば一体何に対して綾瀬が笑っているのか理解するのは中々難しいことかもしれないが、しかし張り詰めていた分、一度緩んでしまえばそれを張り直すのは容易いことではない。愉快そうに右手で口元を抑えながら、片方の手でポケットの中を探りつつ)不運な保険委員趙に私から幸福のお裾分け…要る?要るなら手、出して(そう問いかける頃には笑い声も落ち着いているのだろうが、しかしその声音は愉快そうな色を保ったままで)
[No.15] あれは多分超えちゃあいけない類の壁だと思うな、僕は 名前:善法寺伊作
まぁ、僕は皆が楽しく生活できればそれで良いよ(思い浮かぶのは不運だといわれ続けている後輩のこと。だがしかし、其れゆえに彼等には強く育って欲しい―学校生活が六年間続くとなると、後輩といえど最長五年の付き合いはある訳である。委員会は大抵の場合同じものに所属することが多いから、自然顔見知りは増え親密度も増すというもの。兄弟か何かのように思うのも仕方が無いのか。不運にも負けずに逞しくなってくれれば恐らく学園生活の大半の惨事を笑って流せるようになるのだから―善法寺の様に。自分が流した言葉に追撃は無かった事から恐らく話すような事でも無いのか、或いは善法寺では力不足といった所だろう。別に気にする訳でもなく彼女の言葉に耳を傾け。委員会の仕事が終わるまでならば目薬でもいいかもしれない。とはいえ彼女が家に帰ってから目を休めるかというと善法寺には知れない事、出来ればやって欲しいが大儀がってやらないか、恐らく忘れ去られてしまうだろ。―さて、如何するべきか。時計を見て、彼女をもう一度見れば首を傾げ。ここで目薬を差し出すのは簡単だが、根本的な解決には至らない。ならば、と)今時間あるかな。あるようならやっぱり、目を休めてからの方がいいと思うんだけど。(会計委員会の凄まじさは善法寺も知る所。その場凌ぎの対処よりも負担を軽くする方が今後を考えた上でもいいのだろうと―もし彼女から否定を聞けば直ぐに薬棚にある目薬を差し出すつもりではあるのだが)ああ、皆さんそう仰います。(小さく笑うのは、それこそ一年生の時から言われ続けてきた言葉。学年が上がるにつれその言葉を聞く回数が多くなっている気がするのだが。)?お裾分け?(彼女の意図は理解出来ずとも素直に疑いもせず手を出して。そこに虫を置かれたことも、叩かれた事も、面倒を押し付けられた事もままあるのに毎度素直に手を出せと言われれば差し出すのが善法寺だ。きょとんと目を丸くしたまま彼女の次なる行動を纏うか)
まぁ、僕は皆が楽しく生活できればそれで良いよ(思い浮かぶのは不運だといわれ続けている後輩のこと。だがしかし、其れゆえに彼等には強く育って欲しい―学校生活が六年間続くとなると、後輩といえど最長五年の付き合いはある訳である。委員会は大抵の場合同じものに所属することが多いから、自然顔見知りは増え親密度も増すというもの。兄弟か何かのように思うのも仕方が無いのか。不運にも負けずに逞しくなってくれれば恐らく学園生活の大半の惨事を笑って流せるようになるのだから―善法寺の様に。自分が流した言葉に追撃は無かった事から恐らく話すような事でも無いのか、或いは善法寺では力不足といった所だろう。別に気にする訳でもなく彼女の言葉に耳を傾け。委員会の仕事が終わるまでならば目薬でもいいかもしれない。とはいえ彼女が家に帰ってから目を休めるかというと善法寺には知れない事、出来ればやって欲しいが大儀がってやらないか、恐らく忘れ去られてしまうだろ。―さて、如何するべきか。時計を見て、彼女をもう一度見れば首を傾げ。ここで目薬を差し出すのは簡単だが、根本的な解決には至らない。ならば、と)今時間あるかな。あるようならやっぱり、目を休めてからの方がいいと思うんだけど。(会計委員会の凄まじさは善法寺も知る所。その場凌ぎの対処よりも負担を軽くする方が今後を考えた上でもいいのだろうと―もし彼女から否定を聞けば直ぐに薬棚にある目薬を差し出すつもりではあるのだが)ああ、皆さんそう仰います。(小さく笑うのは、それこそ一年生の時から言われ続けてきた言葉。学年が上がるにつれその言葉を聞く回数が多くなっている気がするのだが。)?お裾分け?(彼女の意図は理解出来ずとも素直に疑いもせず手を出して。そこに虫を置かれたことも、叩かれた事も、面倒を押し付けられた事もままあるのに毎度素直に手を出せと言われれば差し出すのが善法寺だ。きょとんと目を丸くしたまま彼女の次なる行動を纏うか)
[No.18] むしろ中々越えられないんじゃない?喧嘩は見てて楽しいけどね 名前:綾瀬遥香
(彼の言い分に同感してしまうのは、不運であるか否かはさておき、彼女もまた後輩に対して親愛の情を抱いているからだろう。ただそれでも―)皆っていうのは自分込み?それとも自己犠牲な感じ?(そうどこか意地の悪い調子で問いかけてしまうのは一種の癖か。ただどのような反応を返したにしろ、それも弱みを握るためのデータの一部だと頭に刻み込むのだろうが。彼の人となりを知るという点に関して、今回のハプニングはむしろ自分にとって有益なものであったと言えよう。一層の事、このまま近付いて彼から何か情報を引き出そうかーとあくまで優先すべきは己に課せられた任務。だからこそ彼からの申し出には驚きながらも、そうね、と考えるそぶりを見せるのか)多少はある、かな。あっもしかして準備してくれたりするの?(ここまで面倒身が良いとなれば、この面倒見の良さも弱みになるんじゃないだろうか、などと考えながらも、彼から向けられる自分を気遣う言葉は純粋に嬉しく、頬を緩めた。もし肯定の言葉が返ってくるのなら、その時は素直に頷くに違いない)じゃあ昔からこんな感じだったんだ。善法寺の事詳しい訳じゃないんだけど、何だか想像ついちゃう。(小さい頃から変わらないと言われても今の自分ならば納得することが出来るだろう。普通ならば手を出せと言われ多少なりとも警戒するのに、こうも素直に反応する相手はどうも新鮮で)…警戒心を持った方がいいんじゃない?(だからこそ呆れを含んだ物言いとなってしまうのだけれど、浮かべた笑みは変わらぬままポケットの中から探り出したものを彼の掌へと落して。掌に落としたのは、普段後輩に餌付けのように与えているお菓子の幾つかー数個の飴と一口サイズのセロファンにくるまれたチョコレート)ただの飴なんだけどね。甘いもの嫌いなら悪いんだけど、でもこんな美人の女子高生からお菓子をもえるなんて幸運な事だとは思わない?(茶目っ気たっぷりにそう言ってのけるのは後半部分に対してはあくまで冗談だということを強調させる為だろう。自分に自信があれども、流石の彼女も自身を本気で美人と称するなど出来ない事で)
(彼の言い分に同感してしまうのは、不運であるか否かはさておき、彼女もまた後輩に対して親愛の情を抱いているからだろう。ただそれでも―)皆っていうのは自分込み?それとも自己犠牲な感じ?(そうどこか意地の悪い調子で問いかけてしまうのは一種の癖か。ただどのような反応を返したにしろ、それも弱みを握るためのデータの一部だと頭に刻み込むのだろうが。彼の人となりを知るという点に関して、今回のハプニングはむしろ自分にとって有益なものであったと言えよう。一層の事、このまま近付いて彼から何か情報を引き出そうかーとあくまで優先すべきは己に課せられた任務。だからこそ彼からの申し出には驚きながらも、そうね、と考えるそぶりを見せるのか)多少はある、かな。あっもしかして準備してくれたりするの?(ここまで面倒身が良いとなれば、この面倒見の良さも弱みになるんじゃないだろうか、などと考えながらも、彼から向けられる自分を気遣う言葉は純粋に嬉しく、頬を緩めた。もし肯定の言葉が返ってくるのなら、その時は素直に頷くに違いない)じゃあ昔からこんな感じだったんだ。善法寺の事詳しい訳じゃないんだけど、何だか想像ついちゃう。(小さい頃から変わらないと言われても今の自分ならば納得することが出来るだろう。普通ならば手を出せと言われ多少なりとも警戒するのに、こうも素直に反応する相手はどうも新鮮で)…警戒心を持った方がいいんじゃない?(だからこそ呆れを含んだ物言いとなってしまうのだけれど、浮かべた笑みは変わらぬままポケットの中から探り出したものを彼の掌へと落して。掌に落としたのは、普段後輩に餌付けのように与えているお菓子の幾つかー数個の飴と一口サイズのセロファンにくるまれたチョコレート)ただの飴なんだけどね。甘いもの嫌いなら悪いんだけど、でもこんな美人の女子高生からお菓子をもえるなんて幸運な事だとは思わない?(茶目っ気たっぷりにそう言ってのけるのは後半部分に対してはあくまで冗談だということを強調させる為だろう。自分に自信があれども、流石の彼女も自身を本気で美人と称するなど出来ない事で)
[No.21] 僕は心配になるけどなぁ…あの二人容赦ないんだもの、お互いに。 名前:善法寺伊作
(投げかけられた質問にきょと、と目を丸くする。それは日常的に善法寺が聞く場面としては、からかわれる時と類似していた。しかしそれもいつもの事、善法寺のその反応故である事は自覚はしているから、遊ばれる事なんてままあるのだ。いちいち気にはしていられない。楽しげなトーンの彼女の質問には少し考えた後、)僕は既に十分に楽しいからね、皆も同じ位楽しければ良いなって思ったんだけど。(アンラッキーノットアンハッピー。保健委員会の影のスローガンである。家内安全健康第一、不運は不幸じゃない。前向きな不運と言うのか、不運ゆえに前向きと言うのか、兎も角物事を好意的に解釈する善法寺だから出た言葉だろうか。「あ、じゃあちょっとそこ座って待っててくれる?」なんて用意されているパイプ椅子を指せば、自分は早速準備に取り掛かるのだ。)うん、まぁ、こんな感じでした。好きな子に恋愛相談されたりとかね(今となれば笑い話であるのだが、基本的に善法寺の役回りと言えばいつでもそんなもの。結局は優しいお兄さん止まりである。自覚はあるが生まれついた性分、直らないだろうと言う事もわかっているのか。話しながら水を使うからとカーディガンを折って。その度に思うのが、保健室は暖房があって良かった、である。棚からタオルを取り出し水に浸し、絞る。それを何故か保健室においてある電子レンジ―保健委員が私用で使う事もあったりもする―で暖めれば完成である。温度も触ってみればわかる程度の経験はある。広げて、温度を確かめれば畳み直し、にっこりと笑って彼女に差し出そうか)十分位やるのが効果的だから、忙しいだろうけど綾瀬さんの時間、十分貰うね(タオル一本じゃ足りないんだよなぁ、と袖は捲くったまま、また棚にタオルを取りに向かうのか。といっても一気にやっては意味が無いから先程まで自分が作業をしようとしていたテーブルに積むだけなのだが。)警戒心と言われても…学校だし、ここは保健室だからね、大事にはならないと思うんだけど。それに、綾瀬さんはここで僕の手に氷を落としたりとか、叩いたりとか、何かを投げつけて逃走とかしないでしょう?(具体例が挙がるのは全部過去にやられているからである。しかも、複数回。予想通りと言おうか、言葉通りに幸運のお裾分けであった落とされた菓子には頬を緩めて、ありがとう、なんてぽやぽやと礼を言うのか)そうだね、僕にもたまにはその位の幸運はあっても良いよね(今日も酷かったなぁ、なんていつものことではあるが、今日を振り返ると少し遠い目をして)
(投げかけられた質問にきょと、と目を丸くする。それは日常的に善法寺が聞く場面としては、からかわれる時と類似していた。しかしそれもいつもの事、善法寺のその反応故である事は自覚はしているから、遊ばれる事なんてままあるのだ。いちいち気にはしていられない。楽しげなトーンの彼女の質問には少し考えた後、)僕は既に十分に楽しいからね、皆も同じ位楽しければ良いなって思ったんだけど。(アンラッキーノットアンハッピー。保健委員会の影のスローガンである。家内安全健康第一、不運は不幸じゃない。前向きな不運と言うのか、不運ゆえに前向きと言うのか、兎も角物事を好意的に解釈する善法寺だから出た言葉だろうか。「あ、じゃあちょっとそこ座って待っててくれる?」なんて用意されているパイプ椅子を指せば、自分は早速準備に取り掛かるのだ。)うん、まぁ、こんな感じでした。好きな子に恋愛相談されたりとかね(今となれば笑い話であるのだが、基本的に善法寺の役回りと言えばいつでもそんなもの。結局は優しいお兄さん止まりである。自覚はあるが生まれついた性分、直らないだろうと言う事もわかっているのか。話しながら水を使うからとカーディガンを折って。その度に思うのが、保健室は暖房があって良かった、である。棚からタオルを取り出し水に浸し、絞る。それを何故か保健室においてある電子レンジ―保健委員が私用で使う事もあったりもする―で暖めれば完成である。温度も触ってみればわかる程度の経験はある。広げて、温度を確かめれば畳み直し、にっこりと笑って彼女に差し出そうか)十分位やるのが効果的だから、忙しいだろうけど綾瀬さんの時間、十分貰うね(タオル一本じゃ足りないんだよなぁ、と袖は捲くったまま、また棚にタオルを取りに向かうのか。といっても一気にやっては意味が無いから先程まで自分が作業をしようとしていたテーブルに積むだけなのだが。)警戒心と言われても…学校だし、ここは保健室だからね、大事にはならないと思うんだけど。それに、綾瀬さんはここで僕の手に氷を落としたりとか、叩いたりとか、何かを投げつけて逃走とかしないでしょう?(具体例が挙がるのは全部過去にやられているからである。しかも、複数回。予想通りと言おうか、言葉通りに幸運のお裾分けであった落とされた菓子には頬を緩めて、ありがとう、なんてぽやぽやと礼を言うのか)そうだね、僕にもたまにはその位の幸運はあっても良いよね(今日も酷かったなぁ、なんていつものことではあるが、今日を振り返ると少し遠い目をして)
[No.26] 喧嘩するほど仲が良いって言うじゃない。二人も多分それだから。 名前:綾瀬遥香
(どこか揶揄するような口調であったことは自覚済みではあるが、それを一切気にしていないのは綾瀬の性分。加えて、彼があまりにも気にせず返してくれるものだから、そういう気さえも起こすことはないようで―愉快そうに唇の端を上げながらも、返ってきた言葉にはふぅんと小さく零し)自己犠牲って訳でもないんだ。まぁ人生は楽しんだもの勝ちな部分があるけどね。(不運なことを悲観しているのかと思いきや、どうやらそうではないらしい。意外にも彼の思考は前向きで、好感がもててしまう。良い人故の不運かーなどと思考をめぐらせながらも、彼が示す先のパイプ椅子に視線を向ければ「りょーかい」と短く了承の言葉を返そうか。ただ、その足は椅子ではなくある一か所に向かいつつあるが)好きな子に恋愛相談って…そこまでは想像してなかったな。ちなみにどんな子?私も知ってる子?(ただ彼とは違う方向に向けられた四川はその言葉を聞けば勢いよく彼の方へと向いてしまう。人様の恋愛沙汰に反応してしまうのはやはり年頃の女の子と言うべきか、誰?誰?と好奇心に光らせたその瞳のまま彼に問いかけるも、保健室の一角の壁に設置された鏡へと辿りつけば、その鏡を覗き込むことになるのだけれど。確かめるのは最早うろ覚えとなった本日の化粧具合。濡れても大丈夫なことを確認すれば、先ほど彼が示した椅子に腰掛けることになるはずで)私の十分あげる代わりに、の十分もちょうだいね。一人でじっとしてるのってあんまり好きじゃないから、お喋りくらい付き合ってよ。(差し出されたタオルを受け取り、椅子の背に体重をかける。温かなタオルから伝わってくる熱に頬を緩めつつも、初体験となるその体験に少しだけ胸を弾ませて。とはいえ、目の部分をタオルで覆ってしまえばそんな感情が彼に伝わることなどないのだろうが。勿論彼が何しているのかなど、綾瀬が知る由もなく。)しないけど…何それ、善法寺今までそんなにやられてきたの?それ不運っていうか、ただ周りが駄目なだけな気がするんだけど。(今までやった経験があるとすれば「良いものあげる」と言いながらその手に全然良くもないものを落とす程度のこと。氷までも用意する周到さはある種感心してしまうが、そんなことを呑気に考えてしまうのもあきまで彼の不運が他人ごとであるからなのだろう。ただしかし―)それ食べてる間くらい私が善法寺守ってあげるから。飴を喉に詰まらせるのは自己責任だけど。(元より世話焼きの性分、今日一日、そして今までの不運を目にすれば流石に少しばかりは手伝ってあげたいという気も起るというもので、冗談めいた口調でありながらもそう笑いかけて)
(どこか揶揄するような口調であったことは自覚済みではあるが、それを一切気にしていないのは綾瀬の性分。加えて、彼があまりにも気にせず返してくれるものだから、そういう気さえも起こすことはないようで―愉快そうに唇の端を上げながらも、返ってきた言葉にはふぅんと小さく零し)自己犠牲って訳でもないんだ。まぁ人生は楽しんだもの勝ちな部分があるけどね。(不運なことを悲観しているのかと思いきや、どうやらそうではないらしい。意外にも彼の思考は前向きで、好感がもててしまう。良い人故の不運かーなどと思考をめぐらせながらも、彼が示す先のパイプ椅子に視線を向ければ「りょーかい」と短く了承の言葉を返そうか。ただ、その足は椅子ではなくある一か所に向かいつつあるが)好きな子に恋愛相談って…そこまでは想像してなかったな。ちなみにどんな子?私も知ってる子?(ただ彼とは違う方向に向けられた四川はその言葉を聞けば勢いよく彼の方へと向いてしまう。人様の恋愛沙汰に反応してしまうのはやはり年頃の女の子と言うべきか、誰?誰?と好奇心に光らせたその瞳のまま彼に問いかけるも、保健室の一角の壁に設置された鏡へと辿りつけば、その鏡を覗き込むことになるのだけれど。確かめるのは最早うろ覚えとなった本日の化粧具合。濡れても大丈夫なことを確認すれば、先ほど彼が示した椅子に腰掛けることになるはずで)私の十分あげる代わりに、の十分もちょうだいね。一人でじっとしてるのってあんまり好きじゃないから、お喋りくらい付き合ってよ。(差し出されたタオルを受け取り、椅子の背に体重をかける。温かなタオルから伝わってくる熱に頬を緩めつつも、初体験となるその体験に少しだけ胸を弾ませて。とはいえ、目の部分をタオルで覆ってしまえばそんな感情が彼に伝わることなどないのだろうが。勿論彼が何しているのかなど、綾瀬が知る由もなく。)しないけど…何それ、善法寺今までそんなにやられてきたの?それ不運っていうか、ただ周りが駄目なだけな気がするんだけど。(今までやった経験があるとすれば「良いものあげる」と言いながらその手に全然良くもないものを落とす程度のこと。氷までも用意する周到さはある種感心してしまうが、そんなことを呑気に考えてしまうのもあきまで彼の不運が他人ごとであるからなのだろう。ただしかし―)それ食べてる間くらい私が善法寺守ってあげるから。飴を喉に詰まらせるのは自己責任だけど。(元より世話焼きの性分、今日一日、そして今までの不運を目にすれば流石に少しばかりは手伝ってあげたいという気も起るというもので、冗談めいた口調でありながらもそう笑いかけて)
[No.30] 保健委員的にも個人的にももっと穏やかに交流して欲しいんだけど 名前:善法寺伊作
(サクサクと考えずとも手が動くのは六年間の経験ゆえ。最早すっかり机の上の原稿用紙のことは忘れているのだろう、と言うのもカバンを退かす序に端に一緒に除けたから。筆箱が無い事も忘れるのは基本的に患者第一主義者だからか。既に四回目になるタオルを水に漬け、固く絞る作業をしながら)んん、これは誰かが犠牲になるようなことじゃないしね。嗚呼でもあれかな、保健委員の不運が留三郎みたいに感染型って呼ばれる奴なら、保健委員は犠牲者なのかも(言ってみるがそもそも不運の要素がある人間が保健委員会に来るわけであって、現に同年の保健委員の顔を思い浮かべれば、そういえば彼女は言われる程不運でもない。どうなのかなぁ、なんて首を傾げるのは善法寺の癖だろう。「ちょっと失礼」と一言断ってから先程暖めたタオルに交換する。向いた視線には苦笑を浮かべ)どんな子って言われても…んん、可愛い子だったよ?知ってるか知らないかっていうのはちょっとわかんないけど(あいまいな笑みを浮かべながら、個人を特定するような事は言えませんなんてはぐらかして。するりと背を向ければ五枚目のタオルを水に漬け、また固く絞る作業に戻るのか。なんだかんだ喋りながらだからか、二分に一枚交換と言うのは存外に時は早く過ぎるもので)やられたよ。まぁ小さい頃ってそういう拙い悪戯が流行るじゃない?背中に馬鹿って書いた紙張られるとか。まぁ僕がしょっちゅう転んだり穴に落ちたりするからだろうねぇ(今だったら虐めだよね!なんて朗らかに笑って見せるのは全く気にしていないからか。過去は過去と割り切ってると言えば聞こえが良いが、ようはこれも慣れ、である。己の妙に悪い運勢と其れに付随する弊害には慣れきったもので最近では受身も取れるようになってきた、なんていうのはちょっとした自慢であって―)あはは、ありがと。嗚呼でも僕飴って途中で噛んじゃうから、喉に詰まった事はないなぁ(一つ袋を破り口に放り込めば、掌でころころと転がる飴玉をカーディガンのポケットにしまって。飴を食べている時に後ろから押されて飲み込んでしまうなんて事は幼少の頃頻繁にあった。だからこそ現在善法寺は飴を口に入れれば半分ほどで噛み砕くなんて癖がついたのだけど、今はもうそんなことは忘れてただ飴を噛み砕く癖だけが残ったのだろう。程なくして自身で言ったようにガリガリと飴を噛み砕く音が聞こえるのか)
(サクサクと考えずとも手が動くのは六年間の経験ゆえ。最早すっかり机の上の原稿用紙のことは忘れているのだろう、と言うのもカバンを退かす序に端に一緒に除けたから。筆箱が無い事も忘れるのは基本的に患者第一主義者だからか。既に四回目になるタオルを水に漬け、固く絞る作業をしながら)んん、これは誰かが犠牲になるようなことじゃないしね。嗚呼でもあれかな、保健委員の不運が留三郎みたいに感染型って呼ばれる奴なら、保健委員は犠牲者なのかも(言ってみるがそもそも不運の要素がある人間が保健委員会に来るわけであって、現に同年の保健委員の顔を思い浮かべれば、そういえば彼女は言われる程不運でもない。どうなのかなぁ、なんて首を傾げるのは善法寺の癖だろう。「ちょっと失礼」と一言断ってから先程暖めたタオルに交換する。向いた視線には苦笑を浮かべ)どんな子って言われても…んん、可愛い子だったよ?知ってるか知らないかっていうのはちょっとわかんないけど(あいまいな笑みを浮かべながら、個人を特定するような事は言えませんなんてはぐらかして。するりと背を向ければ五枚目のタオルを水に漬け、また固く絞る作業に戻るのか。なんだかんだ喋りながらだからか、二分に一枚交換と言うのは存外に時は早く過ぎるもので)やられたよ。まぁ小さい頃ってそういう拙い悪戯が流行るじゃない?背中に馬鹿って書いた紙張られるとか。まぁ僕がしょっちゅう転んだり穴に落ちたりするからだろうねぇ(今だったら虐めだよね!なんて朗らかに笑って見せるのは全く気にしていないからか。過去は過去と割り切ってると言えば聞こえが良いが、ようはこれも慣れ、である。己の妙に悪い運勢と其れに付随する弊害には慣れきったもので最近では受身も取れるようになってきた、なんていうのはちょっとした自慢であって―)あはは、ありがと。嗚呼でも僕飴って途中で噛んじゃうから、喉に詰まった事はないなぁ(一つ袋を破り口に放り込めば、掌でころころと転がる飴玉をカーディガンのポケットにしまって。飴を食べている時に後ろから押されて飲み込んでしまうなんて事は幼少の頃頻繁にあった。だからこそ現在善法寺は飴を口に入れれば半分ほどで噛み砕くなんて癖がついたのだけど、今はもうそんなことは忘れてただ飴を噛み砕く癖だけが残ったのだろう。程なくして自身で言ったようにガリガリと飴を噛み砕く音が聞こえるのか)
[No.33] 無理無理。あの二人に限らずこの学園が穏やかって似合わないから 名前:綾瀬遥香
(こうして時間を潰しているとどこかへ向かおうとしていた用事は良いのか―などと思ってしまうのだけれど、それをわざわざ指摘する程お人よしではなく、また自分がいる時点で彼がここを動かないことはなんとなくであるが予想がついてしまう。それがある種の自己犠牲であると思わなくもないが
、彼がそれを犠牲と思っていないのならそれで構わないと、思考の隅へと追いやりつつ)えっ感染型とかある訳?それは初耳かも。でも菜生って大して不運には見えないから男子限定の感性型?…ちょっとそれ、新手の感染症みたいでヤダ。(動きを制限されている為か、口だけがいつも以上によく動いてしまう。ここまでお喋りだったかな、私―などと考えながらも、交換されるタオルに「ありがと」なんて返しつつ、タオルが換えられる瞬間、視線が合うのはどうにも気恥かしいものがあるのか、目を瞑ったままで)私結構顔広いからこの学園の同じ年の子なら結構知ってるよ。でも可愛い子か…善法寺って案外メンクイ?(揶揄するように彼へと向けられる口調は明らかに愉快さが滲んでいて。元より誰かをからかうことが好きな性質ではあったが、それが他人の恋愛事ならば尚更のこと。それも弱味のネタとして握ってしまえとまで思うあたり、ちゃっかりしてると言うべきか)小学生の頃は確かにそういうの流行ったけど、でも私すぐ気付いたし、あんまりされなかったからなぁ。なんていうかドンマイ?(なんとも曖昧な慰めの言葉であるが、本人に悲観する様子がないのだからそれ以上的確な言葉が見つからないというのが本音である。昔から色々な経験があるようだがそれに全くへこたれずにいることは若干の好感が持てるかもしれないが―しかし自分には真似出来そうもない、と早々と思考を切り上げつつ)飴はそうでもないけど、ソフトキャンディー系って歯につまるから私は舐める方が好きだけどね。(しばらくすれば室内に響く小気味のいい音―ポケットの中にまだ残された飴の一つを自分の口元へ運びながら、その音に「あんまり音立てると行儀悪いよ」と指摘を入れるも―ただ彼女自身は然程それに気を悪くしてないのか、その口調は柔らかい。手の中に残った袋を保健室のゴミ箱の中に落とせば) 愛しい委員長が待ってるから私はそろそろ行くかな。じゃあね善法寺(大した収穫はなかったがしかし有意義な時間ではあった。ひらりと振った片手は綾瀬の機嫌の良さを表わしているといっても過言ではないはずで、保健室から出ていく間際に零す小さな「有難う」の言葉もその証か。今日は委員会のある日ではないが、恐らく委員会好きの委員長は何かしら作業はしているだろう。目がすっきりしたついでにそれを手伝って帰るのも良いかもしれない―そう思いながら進める足取りは軽く、道のりを半分くらい進んでからやっと彼の外への用事をなんだったのか聞きそびれた、などと若干の後悔を抱くのだろうか)
(こうして時間を潰しているとどこかへ向かおうとしていた用事は良いのか―などと思ってしまうのだけれど、それをわざわざ指摘する程お人よしではなく、また自分がいる時点で彼がここを動かないことはなんとなくであるが予想がついてしまう。それがある種の自己犠牲であると思わなくもないが
、彼がそれを犠牲と思っていないのならそれで構わないと、思考の隅へと追いやりつつ)えっ感染型とかある訳?それは初耳かも。でも菜生って大して不運には見えないから男子限定の感性型?…ちょっとそれ、新手の感染症みたいでヤダ。(動きを制限されている為か、口だけがいつも以上によく動いてしまう。ここまでお喋りだったかな、私―などと考えながらも、交換されるタオルに「ありがと」なんて返しつつ、タオルが換えられる瞬間、視線が合うのはどうにも気恥かしいものがあるのか、目を瞑ったままで)私結構顔広いからこの学園の同じ年の子なら結構知ってるよ。でも可愛い子か…善法寺って案外メンクイ?(揶揄するように彼へと向けられる口調は明らかに愉快さが滲んでいて。元より誰かをからかうことが好きな性質ではあったが、それが他人の恋愛事ならば尚更のこと。それも弱味のネタとして握ってしまえとまで思うあたり、ちゃっかりしてると言うべきか)小学生の頃は確かにそういうの流行ったけど、でも私すぐ気付いたし、あんまりされなかったからなぁ。なんていうかドンマイ?(なんとも曖昧な慰めの言葉であるが、本人に悲観する様子がないのだからそれ以上的確な言葉が見つからないというのが本音である。昔から色々な経験があるようだがそれに全くへこたれずにいることは若干の好感が持てるかもしれないが―しかし自分には真似出来そうもない、と早々と思考を切り上げつつ)飴はそうでもないけど、ソフトキャンディー系って歯につまるから私は舐める方が好きだけどね。(しばらくすれば室内に響く小気味のいい音―ポケットの中にまだ残された飴の一つを自分の口元へ運びながら、その音に「あんまり音立てると行儀悪いよ」と指摘を入れるも―ただ彼女自身は然程それに気を悪くしてないのか、その口調は柔らかい。手の中に残った袋を保健室のゴミ箱の中に落とせば) 愛しい委員長が待ってるから私はそろそろ行くかな。じゃあね善法寺(大した収穫はなかったがしかし有意義な時間ではあった。ひらりと振った片手は綾瀬の機嫌の良さを表わしているといっても過言ではないはずで、保健室から出ていく間際に零す小さな「有難う」の言葉もその証か。今日は委員会のある日ではないが、恐らく委員会好きの委員長は何かしら作業はしているだろう。目がすっきりしたついでにそれを手伝って帰るのも良いかもしれない―そう思いながら進める足取りは軽く、道のりを半分くらい進んでからやっと彼の外への用事をなんだったのか聞きそびれた、などと若干の後悔を抱くのだろうか)