[No.7] (放課後、人気のない裏庭、木にバレーボールが1つ―) 名前:七松小平太
(いけいけどんどーん!―木霊する声と共に、勢い良く駆け抜ける姿、手にはバレーボールが一つ。それはランニングをしている様にしか見えない七松の姿であるが、是でも一応委員会活動中、正確には前に自業自得の言葉が付く、一人委員会活動だ。今回の委員会で分かったバレーボール二つの紛失、犯人は言うまでもない七松自身で、委員会終了後に顧問に呼び出され、当然如くお説教、そしてバレーボール二つのを探せと告げられて。流石にここまできて反省しない程馬鹿では無い、「はい」の返事と共にグラウンドを駆け出して、現在に至っている。一つはあっさりと、体育館付近で見つかったが、もう一つの在り処がさっぱり分からない現実。グラウンド隅、中庭―思い当たる所は全て探し回るも、見当たらない。校舎内で無い事は確か、校外で無い事も確か、残されるのは校舎外であり、残り回っていない所と言えば、裏庭ただ一つ。裏庭なんて一番可能性の低い場所であり、とてもあるとは思えないのだが―裏庭に足を踏み入れ、ぐるりと、周りを見渡した。バレーボールらしき物は、見当たらない、)……あ、あんなところにあったんじゃわかんないよな、(苦笑を浮かべ、見上げた先にはバレーボール。木に引っかかっており、風が吹いても落ちる気配は無く、どうやら自分の手で落とすしか術は無いようだ。長い棒を使って落とすか、梯子を使うか―暫しの間考えてみた結果、思いついた事と言えば、木に手をかけ、窪みに足を乗せて攀じ登り始め―七松が考え付いたのは、己が木に登る事である)
(いけいけどんどーん!―木霊する声と共に、勢い良く駆け抜ける姿、手にはバレーボールが一つ。それはランニングをしている様にしか見えない七松の姿であるが、是でも一応委員会活動中、正確には前に自業自得の言葉が付く、一人委員会活動だ。今回の委員会で分かったバレーボール二つの紛失、犯人は言うまでもない七松自身で、委員会終了後に顧問に呼び出され、当然如くお説教、そしてバレーボール二つのを探せと告げられて。流石にここまできて反省しない程馬鹿では無い、「はい」の返事と共にグラウンドを駆け出して、現在に至っている。一つはあっさりと、体育館付近で見つかったが、もう一つの在り処がさっぱり分からない現実。グラウンド隅、中庭―思い当たる所は全て探し回るも、見当たらない。校舎内で無い事は確か、校外で無い事も確か、残されるのは校舎外であり、残り回っていない所と言えば、裏庭ただ一つ。裏庭なんて一番可能性の低い場所であり、とてもあるとは思えないのだが―裏庭に足を踏み入れ、ぐるりと、周りを見渡した。バレーボールらしき物は、見当たらない、)……あ、あんなところにあったんじゃわかんないよな、(苦笑を浮かべ、見上げた先にはバレーボール。木に引っかかっており、風が吹いても落ちる気配は無く、どうやら自分の手で落とすしか術は無いようだ。長い棒を使って落とすか、梯子を使うか―暫しの間考えてみた結果、思いついた事と言えば、木に手をかけ、窪みに足を乗せて攀じ登り始め―七松が考え付いたのは、己が木に登る事である)
[No.8] ふは、!裏庭イコールピンクで素敵なお呼び出しの方程式が…! 名前:百目鬼夏犀
(いけいけどんどーん!―意識しているせいなのか、それとも今近くにいるからなのか。やけに耳に残る彼の声は頭の中でぐるぐると渦巻いていた。普段ならアルバイト先に直行のはずの放課後、しかし今日は例外。と言うよりもしばらくはアルバイトを休むことになるのだろう。何故なら体育委員会委員長の彼のスパイと言う用具委員会顧問直々の任務があるからだ。彼の今日の行動は知り尽くしているつもりで、しかし実際はそうでない。だからこそ今、何故ターゲットでもある彼が学校の敷地内をああやって走り回っているのかがわからなくて首を傾げてしまうのだ。それでも任務の為に、とはりきっている―むしろ面白がっている、の方が正しいだろうが―百目鬼を止められるものなどない。それでも、だ。体育館、グラウンド、中庭―様々な場所を走り回り続けている彼を追っていくのは至難そのものであった)はぁっ、はぁっ…うむぅ、流石は体育委員長…!その名は伊達ではないらしい、!でもっ、ここで負けるほど百目鬼は弱くないのだよーう…!(既に息は切れぎれ、それでも気持ちだけは体を追い越して先に飛んで行く。うーっ、と小さく唸りつつこっそりと物陰から彼を見ていた。すれば何故か木に登り始める彼に再び首を傾げる。どうやら百目鬼の場所からは木の上にバレーボールが引っかかっている様子が見えないようだ。先程から彼の走り回る理由も知らないのだ、頭が足りない百目鬼には予想もできないのだろう。もちろん、彼が木の上に登ればそこから自分が見つかってしまうなんてことにも気がついてはいないのだ―)
(いけいけどんどーん!―意識しているせいなのか、それとも今近くにいるからなのか。やけに耳に残る彼の声は頭の中でぐるぐると渦巻いていた。普段ならアルバイト先に直行のはずの放課後、しかし今日は例外。と言うよりもしばらくはアルバイトを休むことになるのだろう。何故なら体育委員会委員長の彼のスパイと言う用具委員会顧問直々の任務があるからだ。彼の今日の行動は知り尽くしているつもりで、しかし実際はそうでない。だからこそ今、何故ターゲットでもある彼が学校の敷地内をああやって走り回っているのかがわからなくて首を傾げてしまうのだ。それでも任務の為に、とはりきっている―むしろ面白がっている、の方が正しいだろうが―百目鬼を止められるものなどない。それでも、だ。体育館、グラウンド、中庭―様々な場所を走り回り続けている彼を追っていくのは至難そのものであった)はぁっ、はぁっ…うむぅ、流石は体育委員長…!その名は伊達ではないらしい、!でもっ、ここで負けるほど百目鬼は弱くないのだよーう…!(既に息は切れぎれ、それでも気持ちだけは体を追い越して先に飛んで行く。うーっ、と小さく唸りつつこっそりと物陰から彼を見ていた。すれば何故か木に登り始める彼に再び首を傾げる。どうやら百目鬼の場所からは木の上にバレーボールが引っかかっている様子が見えないようだ。先程から彼の走り回る理由も知らないのだ、頭が足りない百目鬼には予想もできないのだろう。もちろん、彼が木の上に登ればそこから自分が見つかってしまうなんてことにも気がついてはいないのだ―)
[No.13] それって告白の事かー?俺は喧嘩とかの方が思い浮かぶけどな! 名前:七松小平太
(バレーボールを紛失は何も今回に限ったことでは無く、過去を振り返ってみれば紛失回数は五本の指では数え切れない。それも木に引っ掛かる事はよく有り得る事で、元々の運動神経が良い事もあるが、過去に経験した慣れもあって、七松にとって木登りは得意分野だ。何の躊躇いも無く登っていって、気がつけば既にバレーボールが手を伸ばせば届くまでの距離に位置していた。右手を伸ばしてボールを掴み―下に置いてあるボールと掴んでいるボールを合わせれば数は丁度二つ、仕事は完了。これで顧問に報告すれば帰宅できるのだが―七松は木から下りるのかと思えば、近くにあった木の枝に腰を掛けるのだった。理由はただの気紛れにすぎないのだが、挙げるならば裏庭の木からの景色を堪能したいから、にしておこうか。木の上から眺める裏庭の景色は、下で見るものとはやはり一味違って。過去に一度、此処からの景色は見た事があるのだが、その時と変わらない、自分のお気に入りの世界が広がる。そんな懐かしみに浸っていたのだが、ふと、気になったのは物陰から見える少女。彼女は隠れているのだろうか、けれど此方からは顔ははっきり見えないものの、姿だけは丸見え。こんな人気のない所に何故、―疑問符が頭の中を渦巻く、)………そこの君、俺に何か用事ー?(声が伝わるよう、少しだけ叫ぶように、大声で言ってみるが、声量の調節を上手くやる事を知らない七松は、彼女から聞いてみればかなりの大声、恐らく、少しだけでは無い筈。取り敢えず彼女に伝わればそれで良し、なんて自己満足で片付けてしまおうか―)
(バレーボールを紛失は何も今回に限ったことでは無く、過去を振り返ってみれば紛失回数は五本の指では数え切れない。それも木に引っ掛かる事はよく有り得る事で、元々の運動神経が良い事もあるが、過去に経験した慣れもあって、七松にとって木登りは得意分野だ。何の躊躇いも無く登っていって、気がつけば既にバレーボールが手を伸ばせば届くまでの距離に位置していた。右手を伸ばしてボールを掴み―下に置いてあるボールと掴んでいるボールを合わせれば数は丁度二つ、仕事は完了。これで顧問に報告すれば帰宅できるのだが―七松は木から下りるのかと思えば、近くにあった木の枝に腰を掛けるのだった。理由はただの気紛れにすぎないのだが、挙げるならば裏庭の木からの景色を堪能したいから、にしておこうか。木の上から眺める裏庭の景色は、下で見るものとはやはり一味違って。過去に一度、此処からの景色は見た事があるのだが、その時と変わらない、自分のお気に入りの世界が広がる。そんな懐かしみに浸っていたのだが、ふと、気になったのは物陰から見える少女。彼女は隠れているのだろうか、けれど此方からは顔ははっきり見えないものの、姿だけは丸見え。こんな人気のない所に何故、―疑問符が頭の中を渦巻く、)………そこの君、俺に何か用事ー?(声が伝わるよう、少しだけ叫ぶように、大声で言ってみるが、声量の調節を上手くやる事を知らない七松は、彼女から聞いてみればかなりの大声、恐らく、少しだけでは無い筈。取り敢えず彼女に伝わればそれで良し、なんて自己満足で片付けてしまおうか―)
[No.18] そそそ、そんな野蛮に考えちゃ駄目なのだよーう…! 名前:百目鬼夏犀
(元々は体育委員になりたがっていたのだ、委員長である彼のことについて、もう少しくらいは知っていてもおかしくはなかった。それでも、だ。現在進行形で全く彼のことについて何も知らないというのは如何なものなのだろうか。軽々と木に登っていく彼に小さな感嘆を漏らしつつ、やっとそこで彼が今の今までバレーボールを探す為に学校の敷地内を走り回っていた理由に気づくのか。なるほど、なんて呟いて木から降りてくるだろう彼を待ち構える。しかし物陰に隠れているとは決して言いきれず、むしろ見つけて下さいと言わんばかりに身を乗り出している百目鬼。今の今まで見つからなかったのが奇跡と言うものだ。しかしその奇跡が継続するわけもなく―。何故か木に座り込む彼。もう何度目になるのだろうか、再び首を傾げる。そうしてから耳に届く彼の声。誰かいるのかな、なんてとぼけた考えも流石に一瞬だった。明らかに彼の視線はこちらを捉えていて、つまりは尾行にバレたと言うことで。しかも相手はよりにもよって任務のターゲットである彼自身。あたふたと慌てながらもなんとか立ち上がり、)えええ、えとですネ…!き、今日って良い天気だなぁ、とか思いまして…!ハイ、!(これこそ苦し紛れと言うものだ。他に何か案はないものか―普段ならば決して使うはずのない頭をフル回転させて行き着いた答え。それが結果的にどうなるのかはわからないけれども、)じ、実は…!実は七松センパイのファンでして…!(そして言った直後に気付く―これではストーカーじゃないか、と。恥ずかしさのあまりに熱くなる顔がなんとも言えないほどに赤くなっていることを本人が気づくことはもちろんなく―)
(元々は体育委員になりたがっていたのだ、委員長である彼のことについて、もう少しくらいは知っていてもおかしくはなかった。それでも、だ。現在進行形で全く彼のことについて何も知らないというのは如何なものなのだろうか。軽々と木に登っていく彼に小さな感嘆を漏らしつつ、やっとそこで彼が今の今までバレーボールを探す為に学校の敷地内を走り回っていた理由に気づくのか。なるほど、なんて呟いて木から降りてくるだろう彼を待ち構える。しかし物陰に隠れているとは決して言いきれず、むしろ見つけて下さいと言わんばかりに身を乗り出している百目鬼。今の今まで見つからなかったのが奇跡と言うものだ。しかしその奇跡が継続するわけもなく―。何故か木に座り込む彼。もう何度目になるのだろうか、再び首を傾げる。そうしてから耳に届く彼の声。誰かいるのかな、なんてとぼけた考えも流石に一瞬だった。明らかに彼の視線はこちらを捉えていて、つまりは尾行にバレたと言うことで。しかも相手はよりにもよって任務のターゲットである彼自身。あたふたと慌てながらもなんとか立ち上がり、)えええ、えとですネ…!き、今日って良い天気だなぁ、とか思いまして…!ハイ、!(これこそ苦し紛れと言うものだ。他に何か案はないものか―普段ならば決して使うはずのない頭をフル回転させて行き着いた答え。それが結果的にどうなるのかはわからないけれども、)じ、実は…!実は七松センパイのファンでして…!(そして言った直後に気付く―これではストーカーじゃないか、と。恥ずかしさのあまりに熱くなる顔がなんとも言えないほどに赤くなっていることを本人が気づくことはもちろんなく―)
[No.23] そうか?俺は青春っぽくていいと思うけどなあ! 名前:七松小平太
(夕日に照らされ、オレンジ色に染まる裏庭は実に綺麗なものだ。ずっと眺めていたいくらいの、昼間とは全く違う姿に思わず溜息が出てしまう。もしこの空間に自分一人ならば、この後もゆっくりとしているだろうか、だけれど今は目に映る少女の姿が気になってしょうがない。今は学校に用事のある生徒くらいしか残らない、大半の生徒が帰宅している時間帯で、七松もバレーボールを探すという用事さえなければ、今頃家にいるか、何処かへ寄り道しているか。放課後の裏庭なんて滅多に来ないだろうし、先程まで裏庭には居なかったであろう少女、―まさか自分に用事があるのか、だなんて。まあそんな事、無いだろうが―冗談半分で聞いてみた其れは、どうやら的中しているらしく。彼女は自分に用事がある模様だ―)…今日の天気は快晴、雨は降らない!……、木から見る裏庭の景色、なかなか綺麗だったぞ(今度登ってみてよ!―先程と変わらぬ叫び声。ここで漸く気付くのだ、相手の顔がよく見えなく、叫び声でなければ恐らく聞こえないであろう距離の、―この状態では会話がし辛い、と。相手に此方へ来てもらう程、七松は気が利かない男では無い。ひょい、と座っていた木から軽々と飛び降りたならば、駆け寄るは少女の元。木の上からでは確認できなかったが、駆け寄った事で漸く、用具委員である彼女の姿が確認する事に成功した。用具委員の少女が何故自分に用があるのか、―疑問は募る。だがそれよりも驚いた事と言えば、)………、へ?(―彼女が自分のファンである事を発言した事だ。呆気にとられる、とは正しくこの事を言うのだろう。恥ずかしさが込み上げてくるのを感じるが、其れを抑えようと、誤魔化す為にわざとらしく笑みを零して)冗談は大概にした方がいいぞー。そういう言葉は俺には通じないからな!お世辞なんて言わなくていいよ、(終始きちんとした笑みを保てていたかは謎であるが、崩さない様には努力していた。―本当にファンと言われてしまっても、笑みを保ち続ける自信は、七松には、無い)
(夕日に照らされ、オレンジ色に染まる裏庭は実に綺麗なものだ。ずっと眺めていたいくらいの、昼間とは全く違う姿に思わず溜息が出てしまう。もしこの空間に自分一人ならば、この後もゆっくりとしているだろうか、だけれど今は目に映る少女の姿が気になってしょうがない。今は学校に用事のある生徒くらいしか残らない、大半の生徒が帰宅している時間帯で、七松もバレーボールを探すという用事さえなければ、今頃家にいるか、何処かへ寄り道しているか。放課後の裏庭なんて滅多に来ないだろうし、先程まで裏庭には居なかったであろう少女、―まさか自分に用事があるのか、だなんて。まあそんな事、無いだろうが―冗談半分で聞いてみた其れは、どうやら的中しているらしく。彼女は自分に用事がある模様だ―)…今日の天気は快晴、雨は降らない!……、木から見る裏庭の景色、なかなか綺麗だったぞ(今度登ってみてよ!―先程と変わらぬ叫び声。ここで漸く気付くのだ、相手の顔がよく見えなく、叫び声でなければ恐らく聞こえないであろう距離の、―この状態では会話がし辛い、と。相手に此方へ来てもらう程、七松は気が利かない男では無い。ひょい、と座っていた木から軽々と飛び降りたならば、駆け寄るは少女の元。木の上からでは確認できなかったが、駆け寄った事で漸く、用具委員である彼女の姿が確認する事に成功した。用具委員の少女が何故自分に用があるのか、―疑問は募る。だがそれよりも驚いた事と言えば、)………、へ?(―彼女が自分のファンである事を発言した事だ。呆気にとられる、とは正しくこの事を言うのだろう。恥ずかしさが込み上げてくるのを感じるが、其れを抑えようと、誤魔化す為にわざとらしく笑みを零して)冗談は大概にした方がいいぞー。そういう言葉は俺には通じないからな!お世辞なんて言わなくていいよ、(終始きちんとした笑みを保てていたかは謎であるが、崩さない様には努力していた。―本当にファンと言われてしまっても、笑みを保ち続ける自信は、七松には、無い)