(迷路のような学園の3棟から1棟へは、実はそれほど距離は無い。1年を過ごして大体の近道などを覚えた川西は、それでもゆっくりゆっくりと意図して低速で歩いていた努力も虚しく、溜息を数度ついている間に到着してしまった。純白を誇るその扉を前に、毎回の委員会の前のように深いため息をはいて、諦めと言う名の意思で腹を括り、扉を開けた先で―…ミイラ男を見た)
…………何してるんだよ。
(床に散乱する包帯と、そこに積み重なるように倒れた小柄な体が2つ、誰かは確認しなくても分かった。かわにしさこんせんぱいぃい〜、なんて泣きついてくる後輩二人を面倒臭そうに一瞥すれば、その場でしゃがみ込んでミイラ男の端を手に取り)
…乱太郎も伏木蔵も、包帯に勝手に触るなって言われてただろ!…ったく、汚れてるし………って、動くな乱太郎!お前も暴れんじゃねぇ、この馬鹿!!動くと余計絡まるっつってんだよ!!ちょ…っ、と待て!うわっ、一人ずつ、…って、うわあぁあ?!?!
(伏木蔵の包帯を解いていれば真横から私も助けてください〜とよろめいてきた乱太郎―不運が不運を呼ぶ連鎖。葛藤虚しく彼もまた、包帯の海に巻き込まれて―)