【2ndイベサンプル】(校門を出てすぐ。街灯と星明りを頼りに) | |
小松田秀作 |
(校門を潜ってすぐの通学路。こうして帰りに女の子と連れ立って歩くのは初めての事じゃないか――彼はそんな思考にぼんやり侵食されていた。長く学園に勤めていれば、生徒と偶然帰宅の時間が重なる事もある。けれど、携帯電話という媒体を通してはっきりと誘いをかけられた経験はなく、流石の彼も戸惑って――) それにしても最近皆遅くまで頑張ってるよね〜。いやぁ、僕も見習わなくっちゃいけないよねぇ。 (いるはずが、なかった。普段と変わらぬ呑気な声を彼女へと投げ掛けて、あっけらかんと笑う姿は全く何も考えていないようだ。委員会室へ最終下校の連絡をすればそのまま帰っていいからという事務主任の言葉に甘え、早々に帰り支度を済ませていれば受信したメール。驚きはあったもののあっさり了承の返事をして、今に至る訳だけれど、曰く、「一人で帰るより誰かと一緒の方が楽しいよね〜」と彼女へ伝えたままに考えなしで、まさかこれも調査の一環だなんて微塵も考えず、マイペースに彼女へ話題を振っていく) でもこんなに遅くまで女の子が残ってるのは危ないよねぇ。梢子ちゃんはいつもは皆と帰ってるの? |
…小松田さん転ばないでくださいよぉ?何かしょーこより転びそ。 | |
百枝梢子 |
(生徒同士ではないのだから、こんな風に誘いをかければ流石に怪しすぎる。無理です無理ですと強く抗議したのにも係わらず、結局はこうして彼の隣を歩く事になっている。第一どうして自分の調査相手が事務員の彼なんだろうという根本的な所から愚痴を零しかけてしまう位には低いテンションで、彼女は砂利道を踏みしめていた。誰かと一緒の方が楽しいなんていう警戒心の全く無い言葉には「そぉですねー」と適当な返事を向けて――。) うん。普段は、綾瀬センパイとか三木センパイとか、神崎クンはあんまですけど、いーんかいの人たちと帰ってます。 (のんびりとした話題を提供してくれる彼―場を和ますために…なんていう思惑があるわけでもないんだろう事は両手じゃ足りなくなった日数彼を見ている身として彼女は良く分かっていた。純粋に一緒に帰ってくれている彼を、騙している自分。彼が素直であるからこそ余計に、なんだかムカムカと悪いものを食べたときのように胃が気持ち悪かった。) 小松田さんはさぁ、もっと人を疑うこととか、知ったほーがいーとおもうんですけどお。 (はふ、とマフラー越しに白い息を零しながら、八つ当たり気味にこんっと目の前の小石を蹴り飛ばす。蹴飛ばしたそれが電柱に当たって跳ね返り、ごちんっと彼女の額に反逆してきた。「い゛っ…」と反射で引きあがった顎を無理矢理俯きがちに戻せば、少し赤くなった額を冷たく冷えた手で摩る。じわぁと浮かんできた涙は痛みの所為だと思いたくて――。) |
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