(会計委員のように怒号が飛ぶことも無ければ保健委員のように慌ただしくも無く、火薬委員に比べればどこか上品質な室内で笹山は明日提出の宿題に手を付けていた。先輩が淹れてくれた紅茶と出されたクッキーをありがたく頂きながら、分からない所は迷わずに聞いて。家に帰れば新作のゲームやパズルなど魅力が多いから、彼は宿題をここで終わらすのが常になっていた。問題を解き終えて一息ついて、紅茶とクッキーを咀嚼し、そして再び次の問題へ―その繰り返しは、隣に同じような理由で座り、放課後宿題を終わらせている決して仲の良くない同級生にも見られる事でもあり、上級生の中にも同じような理由でこの部屋に居るものは多い。今日はクッキーが美味しいなーと、手を休める事無くそれを齧りながら設問を解いていれば唐突に側頭部を叩かれ、口からクッキーが零れる。)
いっ……っ、突然なにするんだよ伝七!
(当然とも言える文句を零せば、「食い過ぎだ!」と叫び返してくる黒門。意味が分からないと言いたげに眉を顰めれば、ずいっと差し出されたのは空っぽになったクッキー缶で。一人幾つまでと言う決まりがあるわけでは無いとはいえ食べ過ぎたのは明白だが、殴られては素直に謝る気も起きず。べぇーっと舌を出せば――幼い殴り合いに発展するまで、あと数秒。)