Present for 会計委員の皆
潮江先輩と、会計委員の皆へ。

いつも、おつかれさまですー。
昨日もがんばったねー、おつかれさまですー。
今日は、前に、ブルーベリーは目に良いって聞いたので、使ってみました。
味見もしてもらったので、美味しく出来たとおもいますー。
よかったら貰ってね!皆の目の下には隈ができませんようにーって、お願いもかけておきました。
                           夙川希咲。

(そんな文章が並んだ質素なメモと共に届けられたのは、個別包装された一口大のブルーベリータルト。所々敬語が混じったり砕けたりしているのは宛先が先輩と後輩を含む複数人数宛だからか。ブルーベリーの上、赤いラズベリーソースでハートマークが描かれており、幾つかは生地の部分までそれが食み出てしまっているかもしれない。どちらにせよ、甘いだけでなく少し酸味のあるベリー系特有の味を兼ね添えたそのパイは、中々に良い出来だったのではないだろうか。)

昨日の委員会の後に作ったのか?…女子は大変だな。有難う。//潮江文次郎
(辛い物は苦手ではなかったけど、飲み物を準備している間に齧った煎餅に少なからずダメージを受けつつ、慌てた後輩が差し出したココアを煽りながら、もう一つの開いていた包みからメモを受け取る。見慣れた文字からも滲むほんわか暖かい雰囲気に少々浮かんでいた苛立ちも落ち着けられて、少し、眉を寄せた。本当に気遣いの上手い後輩で困る。嬉しそうな後輩達の姿を目に留めて、潮江からも礼を告げたなら、皆で彼女お得意のお菓子作りの成果を味わおうか。バレンタインに乗じて目を労わるというのも何だか不思議な感覚はあったけど、口に含んでみた酸味には何処となく目の冴える感覚を味わいながら、それを片手に仕事を再開するのだろう。糖分摂取は集中力を保たせる為に必要だと何度となく言われた覚えがあるけれど、仕事が捗るのはそのお蔭だけではなく、今はただ、口に含む度に舌鼓を打って――彼女に感想を告げるのは、帰宅の準備も終えて委員会室を出てからになるか。上手かった、いつもありがとう―なんて、日頃の感謝も込めて。今日も見送る後輩の背中は中々に頼もしい―。)