Present for 保健委員のみんな
(大きめの四角いバスケットにかけられた白いレースのハンカチを取ると、掌にちょこんと乗る丸型の、粉糖たっぷりのガトーショコラが、一人二つずつ食べられる計算で人数分入っている。端っこに纏められている淡い桃色のカードは、この時期になると巷で売っているバレンタイン専用の、薄く縁取っている線が真ん中上部でハートを描いていて―それも矢張り人数分、ひとつひとつに宛名とメッセージを添えたのなら、最後は共通してこう締め括られていた、)
「不運だけど幸せいっぱい!みんながだいすきだよ、これからもよろしく、ね。」
(そして隅にぺたりと貼ってある、物。時間をかけて探したものの見つからなかったから、三つ葉のものを細工して四つ葉にした手作りのクローバーには、少しでも皆の運が上昇しますようにと願いが込められている事だろう―)
今度、皆で四つ葉でも探しに行こうか?//善法寺伊作
(保健室がテリトリーだからという理由で、そのバスケットを受け取ったのも善法寺だった。とはいえ現在は放課後だから皆居るといえばそうなのだが。受け取ったバスケットの送り主には覚えがあり、丁度振り向いた先にその主が居るのだから、運んできた後輩に笑顔を向けると贈り物に興味津々な下級生を振り返って)芳川さんに。ちゃんとお礼を言うんだよ(わーっと駆けてく彼らを見送りながらお茶の用意をしつつ、騒ぎが一段らしく他ところで、善法寺も彼女に礼を言うのだろう。「いつもありがとう」、そして「これからもよろしく」と笑顔を浮かべて)