Present for 平滝夜叉丸
（なるたけ綺麗に見えるようにと努力したのだという事が見えてしまう、つまりは手作りのティラミス。多少疎らにココアパウダーを乗せた、ガラスの器に入れられたそれは白い箱の中に丁寧に置かれていて。その器の下に隠すように置かれていた白地に咲く紅い花のメッセージカードには、何度か書き直された跡。それを誤魔化す様にピンク色のペンで中央に、彼の名前が丁寧に綴られているだけ。差出人も主たるメッセージも何も無い、ともすれば気付かれすらしないだろうカードは、それでも送り主の精一杯。箱は茶色の柔らかなペーパーで丁寧に包まれ白いリボンと茶色い花で飾られていた）
いやぁこんなに素敵なものをもらえるなんてさすがおれ！//平滝夜叉丸
（続けて手に取った茶色のペーパーに包まれた箱は、どこか清潔感漂う雰囲気を帯びていて。箱を開けば、どこか手作りだろうと伺えるその菓子が綺麗なガラスの器に乗って顔を出した。こんなに丁寧なものをこの日にもらったのは初めてだったから、ぱちくりと瞬く滝夜叉丸は少し驚いていると言えるだろう。そんな表情もすぐにでろりと緩んで、カードにも気づかずにいそいそとしまってしまう。―家に帰ってゆっくりとそれを味わったとき、やっとその器の下の存在に気づくのだ。綴られた自分の名に首を傾げるけれど、）…恥ずかしがり屋さんなのだなぁ（零れる声はただひたすら嬉しそうな音色で響き、ファンがくれたものだから、なんて言いながら大切に大切に取っておくのだろう。）