Present for 吉野まな
(何を思ってかラッピングは全て萌黄や緑青―つまり、緑色で成されていた。中身も勿論それにそろえたように緑茶味のカステラ。紅茶の飴が申し訳程度についているのは恐らく買い揃えた後で気付いて付け足したからか。緑の鶴に装飾されたカードに緑色のペンでメッセージが添えられていた)
「今度よしのんの淹れる紅茶が飲みたいです。
お菓子持って行って遊びに行っても良いですか
梅宮」
目に優しい純和風バレンタイン、って感じね。//吉野まな
(後輩の二人が桃色をした袋の中身から取り出したのは、目に留まりやすい緑色。珍しいな、誰だろうと首を捻ったものの、緑は好きな色だったのでありがたく思う。袋を開けたなら飛び出したのは、予想外の日本菓子で。添えられたカードに目を通したなら自然と笑みがこぼれるもの、全く予想ができない彼女らしいプレゼントと言えるだろうか。飴は食後に頂こうとひとつよけて開けた袋を再び閉じて。そのお礼はきっと一月後に、しかしその前に一報と、放課後彼女に一通メールを送るはずだ。)